【特集】世界3位を破る殊勲も上位入賞ならず…男子グレコローマン55kg級・豊田雅俊【2006年12月11日】







 初戦で世界3位(昨年2位)の朴殷哲(パク・エウンチュル=韓国)を破ったグレコローマン55kg級の豊田雅俊(警視庁=右写真)は、続く2回戦で4月のアジア選手権を制したチャ・クワンス(北朝鮮)に破れ、価値ある勝利を上位入賞につなげることができなかった。

 組み合わせが決まったあと、「1回戦が勝負」と全力を尽くし、大きな壁を越えることができた。そのため2回戦で力が出なかったということはきっぱり否定。「第1ピリオドはスタンドでの闘いで1ポイントをやってしまい、第2ピリオドはコイントスで負けがすべて。差はわずか」と感じたそうで、世界のどの選手にも勝つだけの実力の基礎はついているという感触のあった大会だった。

 今大会を通じて得た今後の課題というのも特になく、「今までやってきたことを続けるだけ」と、新しい技術や戦術に取り組む予定はなし。目指している方向に間違いはないわけで、しいて挙げるなら、「集中力を高めるなどして、わずかの差を勝つ技量を身につけること」が今後の課題となる。それは、3月のポーランド・オープンで3位に入賞し、世界選手権で初戦敗退だった今年1年間を振り返っても同じことだという。

 同じグレコローマンの選手である60kg級の笹本睦が金メダルを取ったことは、「チーム・グレコとしてうれしいし、刺激になる」と言う。レスリングのタイプが違うため、笹本の練習を真似たり、取り入れたりするつもりはないそうだが、勝てそうでなかなか優勝できない状態に腐ることなく努力を続け、ビッグイベントの優勝につなげた過程は参考になる。

 豊田も、これまで国際大会で優勝を経験したり、元世界王者を破るなど、世界で通用する資質は所どころで発揮してきた。今が踏ん張りどころ。あきらめることなく努力を続ければ、必ず大きな優勝が転がり込んでくることだろう。


《iモード=前ページへ戻る》

《前ページへ戻る》