笹本睦(ALSOK綜合警備保障)が金メダル獲得…ドーハ・アジア大会第1日【2006年12月10日】







 アジア大会のレスリング競技は12月9日、カタールの首都ドーハのアスパイアー・ホールで開幕。男子グレコローマン3階級が行われ、60kg級の笹本睦(ALSOK綜合警備保障)が4試合を勝ち抜き、金メダルを獲得した(左写真)

 笹本は1回戦でサウジアラビア選手をフォールで破り、2回戦は04年アジア・ジュニア選手権55kg級4位のルスラン・ツメンバエフ(キルギスタン)に2−0で快勝。準決勝では今年アジア選手権優勝で、世界選手権で負けた相手であもるヌルバキト・テンギズバエフ(カザフスタン)を2−0で下した。

 決勝は、今年のアジア選手権2位の盛江(シェン・チアン=中国)。初戦で01年58kg級世界王者のディルショド・アリポフ(ウズベキスタン)を破るなどして乗っており、第1ピリオドを落とす苦しいスタート。1−1のあとの第3ピリオドは0−3とされて、最後のグラウンドの攻撃となり、ガッツレンチ(ローリング)を2回転決めて、ラスト10秒で4−3と逆転。そのまま振り切った
(右写真)

 アジア大会での男子選手の金メダル獲得は、前回2002年釜山大会の松本慎吾(グレコローマン84kg級)に続き、2大会連続。笹本は前回大会の銅メダル獲得に続く好成績で、これまで2000年世界学生選手権やデーブ・シュルツ国際大会(米国)などの優勝はあるものの、シニアのメジャーイベントでは初の金メダルを獲得した。

 74kg級の菅太一(警視庁)は1回戦でサンジャイ(インド)に豪快な俵返しを2度決めて快勝したものの、2回戦で05年アジア王者のダニアール・コボノフ(キルギスタン)に0−2で黒星。コボノフが準決勝で敗れたため、敗者復活戦へ回れなかった。

 各試合の結果は下記の通り(96kg級は、日本選手の派遣なし)。


 ◎男子グレコローマン

 
【60kg級】笹本睦(ALSOK綜合警備保障)    優勝=14選手出場

1回戦 ○[フォール、2P1:17(TF7-0=1:12,9-0)] FALLATAH, Yasser Mohammed(サウジアラビア)

 《経過》第1ピリオドは、相手の投げ技の失敗に乗じて1点を取り、ローリングで3−0。グラウンドの攻撃で持ち上げたあと、背中からマットに落として3点を取り、5秒押さえて7−0としてテクニカルフォール。第2ピリオドは巻き投げの連続で3点、2点と取り、そり投げを決めてそのままフォール。

2回戦 ○[2−0(6-0、TF6-0=1:30)] TUMENBAEV, Ruslan(キルギスタン)

 《経過》第1、2ピリオドともスタンド戦は0−0だったが、第1ピリオドはがぶり返し2回転が決まるなどして5点を獲得。第2ピリオドは、リフトの体勢から反対側に返して2点を取り、ガッツレンチ2回転で6−0とした。

準決勝 ○[2−0(ABig-2,4-1)] TENGIZBATEV, Nurbakyt(カザフスタン)

 《経過》第1ピリオドは1分30秒の段階で0−1。グラウンドの攻撃となった笹本は、リフトの体勢から反対側に回転して2−1と逆転。バックを取られて2−2とされたが、ビッグポイントの差で勝った。第1ピリオドは開始15秒に一本背負いが決まり、このリードを最後まで守った。

【1回戦第2P】格下相手にきっちりフォール勝ち 【2回戦第1P】がぶり返し2連発。第2Pもローリングが爆発。 【準決勝第1P】リフトの体勢から反対側に回転して2点を獲得。 【準決勝第2P】一本背負いで3点を先制。決勝点へ。

決勝 ○[2−1(0-5,4-1,4-3)] SHENG, Jiang(盛江=中国)

 《経過》第1〜3ピリオドともスタンド戦では両者ポイントなし。第1ピリオドのグラウンドは、先に攻撃した中国がリフトを後方へ投げ捨てる感じで決めて3点を取り先制。第2ピリオドは先に攻撃権を得た笹本がローリングを2度決め、ピリオド・スコアは1−1へ。

 決勝の第3ピリオドは、中国の攻撃権でスタート。リフトを決められ、投げられた笹本の肩は返っていないように見えたが、ビデオチェックの結果、3ポイントとなり0−3とリードされた。笹本は攻撃に移ると、左回転と見せかけて右へ回転して2点を獲得。ラスト10秒、2度目の回転もしっかり決めて4−3へ。場外となってスタンドで再開。残り5〜6秒を必死に守り振り切った。中国は2度目のローリングが1点だと猛抗議したが、受け入れられなかった。

【決勝第1P】後方へ投げるようなリフトを決められ、3失点。先制を許してしまった。 【決勝第2P】笹本はガッツレンチ2回転で4点を先制。ピリオドスコアを1−1とした。 【決勝第3P】中国の俵返し。笹本の肩は返っているようには見えないが…。 【決勝第3P】左のシーンのビデオチェック。笹本の脳裏にはアテネ五輪の悪夢が去来か?
【決勝第3P】0−3とされた笹本はこん身の力を振り絞ってガッツレンチへ。2−3! 【決勝第3P】2度目のガッツレンチ。相手のヒジは上がっているものの、肩は下を向いている。 【優勝決定】セコンドの嘉戸洋コーチに抱きついて喜びを爆発させた笹本。 【表彰式】中国、キルギスタン、ウズベキスタンを従えてアジアのナンバーワンへ。


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【74kg級】菅太一(警視庁)    7位=12選手出場

1回戦 ○[2−0(TF6-0=1:38, 4-1)] Sanjay(インド)

 《経過》第1、2ピリオドともスタンド戦は0−0。菅は、ともにグラウンドでの攻撃の時に豪快な俵返しを決め(5点と3点)、快勝した。

2回戦 ●[0−2(0-3,TF0-5=1:20)] KOBONOV, Daniar(キルギスタン)

 《経過》第1、2ピリオドともスタンド戦は0−0。グラウンドはともに相手の攻撃でスタート。第1ピリオドはニアフォール、第2ピリオドは5点となる俵返しを決められ、敗れた。

【1回戦第2P】第1Pに続いて豪快な俵返しがさく裂 【2回戦第2P】俵返しで5点を失い、万事休す。


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