伊調馨が金メダル、浜口京子は銀メダル…世界選手権最終日【2006年10月1日】






 世界選手権最終日は10月1日、中国・広州の天河体育館で女子3階級が行われ、63kg級の伊調馨(中京女大)が4大会連続4度目の優勝、04年アテネ五輪を含めると5年連続の世界一を達成した。6度目の世界一を狙った72kg級の浜口京子(ジャパンビバレッジ)は決勝で敗れて銀メダルに終わり、67kg級の坂本襟(ワァークスジャパン)が銅メダルを獲得した。

 伊調は1、2回戦を勝ち、3回戦でパンアメリカン・チャンピオンのヨセリン・ロハス(ベネズエラ)にも勝利。準決勝で昨年の欧州チャンピオンのモニカ・ミハリク(ポーランド)に勝って決勝進出を決めた。決勝では、2002年アジア大会(韓国・釜山)で負けた許海燕(シュ・ハイアン=中国)と闘い、第1、2ピリオドともラスト10秒を切ってから仕掛けて貴重な1点を挙げる、ピリオド・スコア2−0で勝った。

 浜口は1回戦でアジア2位のオチバト・ブルマー(モンゴル)、2回戦で03年世界チャンピオンのクリスティ・マラノ(米国)、3回戦で昨年3位のスベトラーナ・サヤエンコ(ウクライナ)をいずれもフォール勝ちで下した。準決勝では、今年5月の女子ワールドカップ(名古屋)で負けたオヘネワ・アクフォ(カナダ)に2−0でリベンジし、昨年に続いての決勝進出を果たした。

 しかし、決勝で欧州チャンピオンのスタンカ・ズラテバ(ブルガリア)相手に第1ピリオドを取ったものの、第2、3ピリオドを落とし、昨年に続いて銀メダルに終わった。

 坂本は1、2回戦を勝ち上がったものの、3回戦で昨年2位のマーティン・ダグレニール(カナダ)に0−2で敗れた。ダグレニールが決勝へ進出したことで敗者復活戦へ回り、ワレリア・スラトバ(ウクライナ)に勝利。3位決定戦でディアナ・ムドュラグ(ルーマニア)に、2ピリオドともコイントスで負けながらも、ともに粘って勝ち、2度目の出場で銅メダルを手にした。

 この日で女子が終了。日本は前々日の金1個、前日の金3個とともに5階級で優勝し、銀1、銅1を獲得。5階級制覇は03年大会以来。全階級でメダル獲得は、初の快挙になる。

 また、51kg級で優勝した坂本日登美(自衛隊)が、女子の最優秀選手賞を受賞した。

 各階級の成績は下記の通り。(撮影=矢吹建夫)


 ◎女 子

 
【63kg級】伊調馨(中京女大)        優勝=28選手出場


1回戦 ○[2−0(4-0,7-2)] Megan Dolan(カナダ)

 《1P》伊調が22秒にバックを取って1点を先制。相手のタックルを回りこみ、ニアフォールを追い込んで4−0へ。フォールの体勢だったが、タイムの方が早く認められなかった。

 
《2P》タックルで1点を先制した伊調は中盤、相手のタックルをつぶして回り込んで2−0へ。終盤、相手のがぶり返しを受け、これは伊調も粘って、ともに2点となって4−2。そのまま立ち上がると、伊調が相手を場外へ倒し、3点を加えて7−2とした。

2回戦 ○[フォール、2P0:26(TF6-0=0:41,F3-0)] Thi Hai Yen Nguyen(ベトナム)

 《1P》伊調が相手のタックルさばいて1点。またさきでニアフォールへ追い込み、上四方固めでフォールを狙ったが、惜しくもに逃げられた。しかし6−0でテクニカルフォール。

 
《2P》17秒にタックルをつぶして伊調が1点を先制。すぐに腕を取って体を返し、がっちり押さえ込んだ。。

3回戦 ○[2−0(3-0.4-0] Yoseline Rojas(ベネズエラ)

 《1P》伊調が中盤、相手の左脚へタックルへいき、テークダウンのあとニアフォールを奪って3−0へ。そのままのスコアで終了。

 
《2P》開始早々、伊調が左脚へタックルへいき、テークダウンを奪う。すぐに立ち上がられたが、場外へ押し出して2−0へ。1分30秒にも1点を加えた伊調は、終了間際にも1点を取り4−0とした。

準決勝 ○[2−0(2-0,1-0=2:04)] Monika Rogien(ポーランド)

 《1P》伊調が40秒と1分54秒、相手の攻撃をかわして1点ずつ取り、2−0とした。

 
《2P》2分間の攻防は0−0で終了。コイントスで勝った伊調が、クリンチからのテークダンをしっかりと決めた。


決 勝 ○[2−0(1-0,1-0)] Xu Hai Yan(許海燕=中国)

 《1P》お互いにポイントを取れない展開だったが、伊調がラスト10秒、片脚タックルからバックを取り、1−0とした。

 《2P》一進一退の末、終了間際に組み合ってもつれたが、伊調が正面から場外へ押し倒して1点を取り、これが決勝点となった。


 【67kg級】坂本襟(ワァークスジャパン)        3位=18選手出場


1回戦 ○[2−0(TF6-0=0:44,2-0)] Ashlea McManus(英国)

 《1P》坂本の片脚タックルをレッグホールドで返されそうになったが、うまく体をあずけて3−0へ。もう一度フォールの体勢へ持ち込み、6−0とした。

 
《2P》坂本が21秒に場外へ押し出し1点を先制。終了間際に相手の巻き投げの失敗に乗じてバックを取り、2−0とした。。

2回戦 ○[2−1(1-0=2:11,0-3=2:03,1-0=2:01)] Naranchimeg Gelegjamts(モンゴル)

 《1〜3P》いずれのピリオドもお互いに決め手を欠き、0−0で2分間を終了。坂本が第1、3ピリオドにコイントスで勝ち、確実にポイントを取って勝った。

3回戦 ●[フォール、2P1:20(1-2,0-5)] Martine Dugrenier(カナダ)

 《1P》開始30秒に1点を取った坂本だが、終盤、回りこまれて1点を失い、ニアフォールを奪われて1−3とされた。

 
《2P》相手の正面タックルをがぶり返しで返そうとした坂本だが、通じずに2失点。中盤、片脚タックルへいったが、つぶされ、エビ固めを決められてフォールされた。


敗者復活戦 ○[2−0(1-0=2:30,1-0)] Zlatova Voleriya(ウクライナ)

 《1P》お互いに決定力に欠け、0−0で2分間終了。コイントスで負けた坂本だが、クリンチから相手の足首を持つなどしてつぶし、30秒をこらえて、このピリオドを取った。

 《2P》中盤、左足を取られた坂本だが、つぶして回り込み1点を取った。この1点を守り切った。

3位決定戦 ○[0−2(1-0=2:30,1-0=2:30)] Mudrag Diana(ルーマニア)

 《1・2P》両ピリオドともお互いにポイントがなく、0−0で終了。コイントスはともに相手が勝ったが、坂本はクリンチで脚を取られながらも、レッグホールドを狙うなどして驚異的な粘りを見せ、ともに30秒を耐え抜いた。


 【72kg級】浜口京子(ジャパンビバレッジ)        2位=20選手出場


1回戦 ○[フォール、2P0:29(TF7-0=1:21,F3-0)] Burmaa Ochirbat(モンゴル)

 《1P》浜口ががぶられたものの、相手の体を振ってバックへ回り、16秒で1点を先制。その後、1点、2点と取ったあと、相手にがぶられたが、頭を上げて相手を押し倒し、3点を取って7−0とした。

 
《2P》相手のタックルを受け止めた浜口が、そのままマットへ押し倒し、押さえ込んでフォールした。。

2回戦 ○[フォール、1P1:46(F7-0)] Kristie Marano(米国)

 《1P》30秒すぎ、浜口が外無双気味に投げで3点。そのまま上四方固めなどでフォールを狙ったが、惜しくも逃げられた。しかし1分30秒すぎ、同じように投げ、今度はきっちりとフォールした。

3回戦 ○[フォール、1P1:35(F6-0)] Svetlana Sayenko(ウクライナ)

 《1P》がぶった浜口は、横からニアフォールへ追い込み、29秒で2−0へ。さらにタックルから場外へ押し出して1点を加え、引き落としてテークダウンを奪うと、そのまま押さえ込み、フォールを決めた。

準決勝 ○[2−0(1-0,1-0=2:03)] Ohenewa Akuffo(カナダ)

 《1P》一進一退の攻防。終盤、アクフォのタックルに浜口は尻もちをつきながらも脚をつかんでこらえ、徐々に体勢を立て直すと、ラスト1秒にバックへ回り、1−0とした。

 
《2P》同じようにポイントの取れない展開となり、終了間際に浜口がテークダウンを取ったかに見えたが、惜しくもタイムアップ。しかしコイントスで勝ち、クリンチから倒して押さえ込んだ。


決 勝 ●[1−2(3-1,1-2,TF0-6=1:43)] Stanka Zlateva(ブルガリア)

 《1P》中盤、相手のタックルをがぶった浜口だが、そのまま場外へ押し出されて1失点。しかし、すぐに場外際まで攻めて押し倒して3点を獲得。3−1とした。

 《2P》相手のバッティングで鼻血を出した浜口だが、ひるむことなく攻撃。場外際まで攻めたが、回られて投げの打ち合いになり、場外へ出てしまった。1分16秒で0−1。もう一度同じような形になって場外へ出され0−2へ。浜口は終了間際にタックルを決めてグラウンドでの加点を狙ったが、タイムの方が早かった。

 《3P》片脚タックルで惜しいところまで攻めた浜口だが0点。1分すぎ、相手のタックルにバランスを崩し、テークダウンを奪われてニアフォールへ追い込まれて2点を失った。逆転を狙って反撃した浜口だが、相手にかわされ、逆にグラウンド攻撃を受けて0−6とされてしまった。



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