3年ぶりの復活優勝に涙ぐむ両親






 表彰台のほぼ真後ろの応援席で、わが子が聞かせてくれる日本の国歌を喜ぶ団体がいた。28日に総勢15人で広州入りした親族を含めた応援団だ。女子フリースタイル48kg級の決勝が始まると、総立ちになって「千春―! 千春―!」と絶叫。開始直後に相手から攻められると「大丈夫、大丈夫。そっから、そっから」と応援を続けた。

 優勝が決まった瞬間は「千春―! やった、やった!」と抱き合って大喜び。父・春行さんは涙ぐみ、「おめでとう」と応援団から言われると、うれしそうに笑顔をほころばせた。また、母のトシさん
(右写真の左側)も「この国まで来て応援した甲斐があった」と目を潤ませた。

 最終日に63kg級の出場を控えている妹の馨選手
(下写真の右側)は、試合をフロアで見届け、姉を祝福したあと、観客席の両親のもとへ駆けつけた。「うれしいです。ただ、ただ、うれしいです。試合前は地元のすごい応援だったのに、一瞬にしてシュンとさせた、最高の場面でした。次は自分です」と、アテネ五輪で果たせなかった姉妹での金メダルを誓った。


 伊調寿行・綜合警備保障コーチ(千春の兄)の話(左写真の左端)「おめでとうと言いたい。去年出られず、1年間苦しんだ分が報われたのだと思います。出てれば優勝できたという思いがあったようで、よけい苦しんでいたと思います」

 
八戸クラブ時代の恩師・沢内和興(かずおき)さんの話(左写真の中央)「アテネ五輪では2位で、今回はだいぶ落ち着いていた。最後は素晴らしかった。気持ちが充実していたようだから、心配はしていなかった。これで北京オリンピックへ向けていいスタートになった。アテネでの雪辱を晴らすためにも、ここからがスタートだ。」

 
栄和人・全日本女子チーム監督の話「午前中は緊張して、ふわふわしていた。午後はウォーミングアップから、すべてをしっかりとやらせ、それをきちんとこなしてくれた。『相手は地元の声援でプレッシャーがあるから』と、落ち着いて闘わせた。決勝は落ち着きがあった」

 
ALSOK綜合警備保障・大橋正教監督の話「ワンチャンスを逃さず、すごいと思う。地元選手相手の試合だったので、多少審判の不利も考えられたが、よくプレッシャーに勝ってフォールへ持ち込んでくれた。うれしい。この勢いで北京オリンピックまでチャンピオンを維持してほしい」




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