【特集】すかしタックルを警戒しすぎた?…男子フリースタイル74kg級・小幡邦彦【2006年9月28日】







 アテネ五輪を含めて6度目の世界大会出場の男子フリースタイル74kg級、小幡邦彦(ALSOK綜合警備保障)が初戦で敗退した
(写真)。相手は昨年7月の世界ジュニア選手権優勝のミハイル・ゲネフ(ブルガリア)。今年3月にブルガリアで行われた「ダン・コロフ国際大会」の決勝で対戦し、負けた相手だった。

 前日の計量後に対戦が決まったとき「リベンジだ」という言葉を口にしたという。しかし、結局小幡が取ることができたのは第1ピリオドの0−0で迎えたクリンチからのタックルの1点のみ。

 第1ピリオドでは和田貴広コーチがマットの下から「圧力をかけろ」と声をかけており、それがうまくいってクリンチへ持ち込むことができたが、反撃されると分かっていた第2ピリオドは、1分5秒に回り込まれてポイントを落とし0−1。「気を抜いたわけじゃないけども、(ポイントを)取りきれなかった。あそこで勝負が決まった」と悔やんだ。

 迎えた第3ピリオドではラスト15秒というところで右脚を取られ、回り込まれて痛恨の1ポイントを奪われた。全体的に「脚を触らせてしまったのが敗因です」と振り返る。前回対戦したときの相手の攻撃パターンを深読みしすぎてしまったようだ。前回の対戦ではすかしタックル(頭を外に出しての片脚タックル=ハイクラッチ・タックル)を取られた。今回は「すかしタックルを警戒していたが、脚を取られた」。読み負けだったようだ

 ALSOK綜合警備保障の大橋正教監督は「もう少し試合展開を工夫してほしかった。小幡はずっと得点能力が課題で、それが相手より劣っていた。このままでは変わらない。自分の攻撃の基本となる技を身につけてほしい」と厳しく注文。課題が多く残る試合になってしまった。

 本人は、霞ヶ浦高の後輩に当たる、前日3位になった60kg級の高塚紀行の試合を見て、「後輩だけれど前に出て行くレスリングを学ばなければいけない。(世界の選手相手に)技術では負けているのだから、体力で勝つレスリングをしていかないと勝てない。悪いところを直してまた今後につなげていきたい」と話し、12月のアジア大会での巻き返しにかける。

(取材・文=川崎真依、撮影=矢吹建夫)。


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