【特集】1月までに進退を決断…男子グレコローマン120kg級・鈴木克彰【2006年9月27日】







 せっかく帰って来た国際大会のマットだった。ルールが自分に合ったルールに変わり、3年ぶりに立った世界大会だった。しかし男子グレコローマン120級の鈴木克彰(警視庁)は自分のレスリングもさせてもらえないまま、マットを去ることになってしまった。

 セルゲイ・アーチュキン(ベラルーシ)との2回戦(初戦)。第1ピリオドはスタンド戦を後まで耐え抜いて0−0で終えることができた。「(重量級の)和久井始コーチとのスタンドの練習の成果が出て、合格点はつけられる内容だった」と振り返る。

 しかし、グラウンドの攻撃でポイントを取れず、迎えた防御の開始直後に俵返しを仕掛けられて0−4とされてしまった。ポイントを取るならグラウンドでローリングを仕掛けて、というスタイルの選手。この試合では最初のローリングが決まらなかった時点で、その後の試合展開を左右するかのような実力の差を示してしまった。

 続く第2ピリオドでは押し出しをくらい0−1。グランド攻撃ではディフェンスの開始20秒でローリングを受け0−3へとなり、自分の攻撃を守り切られ0−4で敗退してしまった。

 万全とは言えない体調だった。今年の12月にカタール・ドーハであるアジア大会での重量級の派遣がなくなり目標を今大会一本に絞って練習、7月の菅平合宿などはかなりハードに練習したが、それが原因か、「8月途中から練習ができなくなった」。

 持病の右ひざ痛が腰へきてヘルニアを発症してしまった。さらに8月下旬くらいからは再び右足にしびれを感じるようになってしまったという。

 治らないケガで厳しい立場に置かれているからか、本来は次の試合に関して言及することはない選手だが、今回は珍しくコメントを残してくれた。しかし、それは「120kg級の試合が全部終わってから、(この先どうするかを)考える。この世界大会に勝てて次につながるような試合ができたら、次も考えようと思っていたが…。1月(の全日本選手権)まで時間があるので、少し考える」と次のマットを目指すというものではなく、マットを去る可能性をほのめかすもの。

 重大な決断をする時がきたようだ。

(取材・文=川崎真依、撮影=矢吹建夫)


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