高塚紀行(日大)が05年欧州王者を破って銅メダル獲得…世界選手権第3日【2006年9月27日】






 世界選手権第3日は9月27日、中国・広州の天河体育館で男子グレコローマン1階級と男子フリースタイル2階級が行われ、男子フリースタイル60kg級の高塚紀行(日大)が3位決定戦で05年の欧州王者バシル・フェドロシン(ウクライナ)を破り、初出場にして銅メダルを獲得した。日本男子のメダル獲得は2003年男子フリースタイル66kg級の池松和彦以来。昨年のメダル0の汚名を返上した。

 大学3年生、21歳の世界選手権メダル獲得は、1978年に20歳(大学3年生)で初出場初優勝を飾った富山英明(全日本チーム総監督)以来、28年ぶりの快挙。

 高塚は1回戦で00年世界ジュニア王者のアビル・イブラギモフ(アゼルバイジャン)、2回戦で05年欧州2位のディディエル・(フランス)を撃破。3回戦(準々決勝)で昨年9位のジェルゴ・ウスレル(ハンガリー)にラスト3秒で逆転勝ちした。しかし、準決勝で昨年3位のセイド・モハマディ(イラン)に敗れ、3位決定戦へ。

 アテネ五輪で銅メダルを取った井上謙二の3位決定戦の相手でもあるフェドロシン相手の3位決定戦は、第1、2ピリオドともポイントが取れなかったものの、ともにコイントスで勝ち、クリンチから場外へ押し出してピリオドスコア2−0とした。

 同55kg級の田岡秀規(自衛隊)は、1回戦で05年欧州王者のゲナディ・トゥルベ(モルドバ)に、男子グレコローマン120k級の鈴木克彰(警視庁)は、初戦の2回戦で05年欧州王者のセルゲイ・セルゲイ・アーチュキン(ベラルーシ)にそれぞれ敗れ、ともに相手が決勝へ残れなかったため、敗者復活戦へ回れなかった。

 各階級の成績は下記の通り。(撮影=矢吹建夫)


 ◎男子グレコローマン

 
【120kg級】鈴木克彰(警視庁)     19位=21選手出場


1回戦  BYE

2回戦 ●[0−2(0-4,0-3)] Sergei Artsiukhin(ベラルーシ) 

 《1P》スタンド戦は0−0。グラウンドの攻撃権を得た鈴木は、ローリングが通じない。防御になると、ホイッスルとほぼ同時に俵返しを決められ、3点を失った。

 《2P》スタンドで仕掛けた鈴木だが、場外への出し合いとなり、場外へ出てしまって1失点。グラウンドの防御となり、ローリングを決められて1点を失った。攻撃ではポイントを取れず、0−3となって終了。


 ◎男子フリースタイル

 
【55kg級】田岡秀規(自衛隊)    23位=30選手出場


1回戦 ●[0−2(1-2,0-4)] Tulbea Ghenadie(モルドバ) 

 《1P》タックルがもつれ、マット際で投げの打ち合いとなった田岡が1点を先制。ここで目の上を切ってインジュリータイム。再開後、1分36秒に同じような攻防になって今度は田岡が1失点。逆転を狙った田岡は足技に活路を見い出したが失敗し、1点を失った。

 
《2P》一進一退の攻防のあと、1分34秒、田岡が正面タックルで場外へ出された。組み合って攻撃を仕掛けようとした田岡は、バランスを崩し、相手に体を浴びせられて3失点。0−4とされた。


 【60kg級】高塚紀行(日大)     3位=30選手出場


1回戦 ○[2−0(BBig-3,3-0)] Abil Ibragimov(アゼルバイジャン) 

 《1P》タックルへ行った高塚だが、25秒、がぶり返しを受けて2失点。しかし49秒、正面タックルで背中からマットへ落として3−2へ。終盤、タックルで場外へ出されてしまい3−3とされたが、ビッグポイントのよって高塚がこのピリオドを取った。

 
《2P》高塚がハイクラッチのタックルで1点を先制。その後もタックルを決め、終盤には勝負をかけた相手のタックルに対してカウンターのタックルを決めて3−0とした。

2回戦 ○[2−1(1-5,1-0,3-1)] Pais Didier(フランス) 

 《1P》開始20秒、高塚は片足タックルで場外へ出されたが、1分10秒に片足タックルで1−1へ。しかし後半、正面から頭を抱えられ、がぶり返しのような感じで返されて3失点。終了間際に場外に出されてさらに1点を失った。

 《2P》前半は一進一退。しか1分13秒に高塚が片足タックルで1点を挙げ、そのままのスコアでこのピリオドを取った。

 《3P》高塚は開始6秒に片足タックルで1点を取り、19秒には相手のタックルをかわして2−0へ。1分ころ、タックルをかわされて1点を取られたものの、1分34秒には組み合ってからの正面タックルで場外へ押し出し、3−1とした。

3回戦 ○[2−1(0-2=2:18,1-0=2:03,2-1)] Gergo Woller(ハンガリー) 

 《1P》一進一退で、終了間際にタックルを決められた高塚だが、タイムの方が早く0−0。コイントスで負けた高塚は、相手の攻撃を粘ってレッグホールドを狙ったが、乗られてしまい、このピリオドを落とした。

 《2P》両者とも決め手がなかったが、高塚が優勢。レフェリーは相手の警告を取ったが、他の2審判が認めず0−0で2分間を終了。コイントスで勝った高塚は、しっかりとタックルを決めた。

 《3P》開始18秒、高塚がタックルで場外へ出して1点を先制。ここで目の上を切り、出血でインジュリータイム。再開後の1分28秒、高塚は相手のタックルを切ったが、そのまま立ち上がられて組み合いとなり、そり投げ気味の技を仕掛けられそうになってバックを取られた。痛恨の1失点と思われたが、高塚は最後まであきらめず、タックルをしっかりがぶられながらも、フェイントを使って回り込み、ラスト3秒、貴重な1点を獲得。激戦を制した。

準決勝 ●[0−2(0-4,0-1)] Seyed Mohammadi(イラン) 

 《1P》一進一退の攻防のあと、1分30秒すぎ、場外際に追い詰められた高塚は巻き投げで対抗したが失敗して1失点。アンクルホールドを2回転受け(1点、2点)、0−4とされてしまった。

 《2P》第1ピリオドと同じく両者ともポイントが取れなかったが、1分40秒、一瞬のすきをつかれた高塚がバックを許し1失点。そのまま終了のホイッスル。


3位決定戦 ○[2−0(1-0,1-0)] Vasil Fedorichin(ウクライナ) 

 《1・2P》一進一退で両者ともにポイントがなく2分間を終了。コイントスで勝った高塚が、クリンチからのタックルを決めて勝った。



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