【特集】相手の反則を見逃され、悔しい黒星…男子グレコローマン55kg級・豊田雅俊【2006年9月25日】






第1ピリオド、がぶり返しで先制した豊田だったが、逆転負け。

 04年アテネ五輪を含めて4年連続の世界大会出場となった男子グレコローマン55kg級の豊田雅俊(警視庁)は、初戦でキューバの初顔ヤグニエル・ヘルナンデス相手に逆転負け。ヘルナンデスが2回戦で米国に敗れたため、敗者復活戦へも進めずに、またしても上位進出を逃した。

 序盤は豊田のペースだった。第1ピリオドはスタンド戦で攻勢をとって場外に押し出し、がぶり返しを決めて4−0で先制した。しかし第2ピリオドを1−1のラストポイントによって落とすと、第3ピリオドはレフェリーとの相性の悪さが悪い結果につながってしまった。

 豊田は「運もあるが、今日出たものがすべて。(実力は)こんなものか…」と唇をかみしめたが、日本陣営としては判定への不満が残った試合だった。

 問題の場面は、1−1から豊田が最後の攻撃を仕掛けたシーン。タックルを決めて2−1で勝利かと思ったが、豊田の手が足に触れたという疑惑によってビデオチェックに持ち込まれ、それが通っての判定負け。ビデオをチェックされての判定では

第3ピリオドのがぶり返しを、脚をつかんで防御したヘルナンデス。しかし…。

仕方ないが、豊田にも言い分はある。タックルの前に仕掛けたがぶり返しの時に相手に左脚をつかまれており、そのシーンをレフェリーが見ていなかったという。

 「あれっと思って気が緩んでしまった」そうで、このあと頭を上げられて場外へ押し出されてしまった。「場外に出てしまったので、レフェリーからの印象が悪くなった。やはりあそこ(がぶり返し)で点を取れていれば」と悔やんだが、後の祭りだった。

 すっきりしない判定で負けてしまい、「(初戦敗退は)悔しいと思わないといけないが…」と言いながらも、明るい材料もある。昨年の2回戦もキューバ選手に負けており、キューバ相手にはいつもポイントを多く取られていたが、今回は防御の練習の成果が発揮され、技を受けての失点は場外に出されての1点だけ。「守れたのは自信になった」と言う。悔しさの中にも、笑顔をつくって報道陣に対応し、次の闘いに気持ちを向けていた。

(取材・文=川崎真依、撮影=矢吹建夫)


《iモード=前ページへ戻る》

《前ページへ戻る》