飯室雅規(自衛隊)が5位…ピトラシンスキ国際大会第1日【2006年8月26日】






 【ポーランド・ワルシャワ発、ウィリアム・メイ記者】世界選手権を1ヶ月後に控え、グレコローマンの最後のビッグ・テスト大会となる伝統のある「ピトラシンスキ」国際大会は8月25日、ポーランドの首都ワルシャワで4階級が行われ、66kg級の飯室雅規(自衛隊=右写真)が3勝をマークし、30選手出場中、5位に入賞した。

 60kg級に出場した豊田雅俊(警視庁)、74kg級の菅太一(警視庁)と鶴巻宰(国士大)は上位入賞ならなかった。84kg級の松本慎吾(一宮運輸)は負傷のため出場しなかった。

 60kg級世界チャンピオンのアルメン・ナザリアン(ブルガリア)が昨年の欧州チャンピオンのビタリ・ラヒモフ(アゼルバイジャン)に2回戦で負けて7位。そのラヒモフは準決勝で急成長を遂げているハカン・ニブロム(デンマーク)に負けて5位に終わった。2002年のアジア大会金メダリストのカン・キュンイル(韓国)は予備戦に負けて、24−27位だった。

 66kg級は世界チャンピオンのニコライ・ゲルゴフ(ブルガリア)が優勝。03年の世界王者ジミー・サムエルソン(スェーデン)は15位、世界3位のキム・ミンチュル(韓国)は12位だった。

 74kg級は、世界2位のマーク・マドセン(デンマーク)が予備戦で世界3位のコンスタンチン・シュナイダー(ドイツ)に勝って決勝まで進んだものの、ヨーロッパ17位のボロディミール・シャツキー(ウクライナ)に敗れた。

 84kg級はキム・ユンサブ(韓国)が粘り強いレスリングを見せ、決勝で世界3位のサンドール・バルドシ(ハンガリー)を2−0(1-1,1-1)で破って優勝。世界チャンピオンのアリム・セリモフ(ベラルーシ)はイランのサマン・タマサビに負けて、8位に終わった。

(撮影=保高幸子)

[注]従来、「ピトライスニスキ国際大会」としていましたが、「ピトラシンスキ国際大会」と表記します。


 【60kg級】豊田雅俊(警視庁)   15位=31選手出場

予備戦 BYE

1回戦 ○[2−1(3-0,0-4,2-1)] Tomasz Swierk(ポーランド)

 《1P》パーテールポジションでがぶりの近い位置から横に返して2−0。下からエスケープし、3−0で先取。

 《2P》パーテールポジションで同じような技で返しポイントをもらったが、抗議で0ポイント。豊田はまたエスケープしたものの、ポーランドのナンバーワン選手が必死に攻め、横に倒された。0−4でこのピリオドを落とした。

 《3P》豊田が腕取りからバックへ回って先制。パーテールポジションで返せず同点となったが、豊田は下から三度目のエスケープに成功。守り切って、勝ち進んだ。

2回戦 ●[0−2(1-5,3-4)] Heinz Marnette(ドイツ)

 《1P》パーテールポジションから立ち上がり、30秒を耐えて豊田が1−0へ。しかし、上からリフトしたものの背中から倒れて1−1へ。豊田は必死に攻めたものの、小手投げde1−4。最後は1−5でこのピリオドを落とした。

 《2P》パーテールポジションでエスケープし、1−0とリードした豊田。がぶりから返えしたが、相手が乗ってきてポイントは2−2となり、3−2へ。もう一度返えされて3−4と逆転を許し、そのまま試合が終わった。


 【66kg級】飯室雅規(自衛隊)   5位=30選手出場

予備戦 ○[2−0(2-0,5-3)] Jani Hermansson(フィンランド)

 《1P》パーテールポジションを守って1−0。そのあとリフトで2−0とし先取。

 《2P》パーテールポジションからのリフトで、相手に2度脚を使うペナルティがあり、5−0とリード。防御では3点を取られたものの、リードを守り切った。

1回戦 ○[2−0(3-0,2-1)] Moises Sanchez(スペイン)

 《1P》パーテールポジションで、上から横崩しを決めて2−0へ。防御では30秒を守って先取。

 《2P》パーテールポジションで、下から立ち上がって倒し、上になって1−0へ。それから30秒を耐えて2−0。攻撃ではポイントを取れなかったものの、2−1で勝ち進んだ。

2回戦 ●[0−2(3-5,0-2)] Elbrus Mammadov(アゼルバイジャン)

 《1P》飯室がマットにスリップし、相手が上に飛び込んで、すぐローリングして0−3。パーテールポジションで守って、1−3としたものの、攻撃でのがぶり返ししは2−2の判断。3−5でこのピリオド落とた。

 《2P》パーテールポジションで返されて0−1。攻撃ではポイントを取れず、0−2でで終わった。

敗者復活戦 ○[2−1(@-1,1-@,4-0)] Mehdi Tavakoli(イラン)

 《1P》パーテールポジションの攻防で、お互いに守り切り、1−1となってラスト・ポイントを取った飯室が先取。

 《2P》また1−1で終わったが、今度は相手のラスト・ポイントによってピリオド・スコアは1−1へ。

 《3P》同じパターンで、パーテールポジション戦に入った。飯室はうまくリフトを決めて大きく返し、5ポイントでもおかしくない技だったが3−0へ。グラウンドの防御を守り切り、4−0で3位決定戦に進んだ。

3位決定戦 ●[1−2(B-3,0-4,0-3)] Ulvan Erkan(トルコ)

 《1P》パーテールポジションからローリングを2度返され、0−3とリードを許したが、自分の攻撃で俵返しを決め、3点を獲得。ビッグ・ポイントで先取。

 《2P》パーテールポジションでは、相手が先に守って0−1。飯室は下からエスケープし、27秒に上手く逃げたものの、ラスト3秒で首投げを受けてしまい、0−4で落とした。

 《3P》パーテールポジションで飯室選手が先に攻撃。俵返しは決まらず0−1。防御では、先のトルコでの合宿でよくスパーリングをやっていた相手のガッツレンチを守ることができず、返され、メダル獲得はならなかった。


 【74kg級】鶴巻宰(国士大)   18位=41選手

予備戦 ○[2−1(TF0-6=1:10,3-0,2-1)] Oleski Chekalenko(ウクライナ)

 《1P》鶴巻は押し出されて0−1。相手のフライング気味のリフトでされて、テクニカルフォールでこのピリオドを取られた。

 《2P》パーテールポジション戦でローリングを決め、下からしっかり守って3−0へ。ピリオドスコアをイーブンとした。

 《3P》胴タックルで1−0とリードを取ったものの、パーテールポジションで上から返えすことができずに1−1。勝負のどころの防御では、相手にうまくクリンチを組まれたものの、鶴巻は相手の股下をくぐってしっかり守り、勝ち進んだ。

1回戦 ●[0−2(0-5,1-5)] Choi Duk-Hoon(韓国)

 《1P》パーテールポジション戦で鶴巻はノー・スタートのペナルティで0−2。ローリングを受けて0−4となり、鶴巻のグラウンドでの攻撃は通じず0−5。

 《2P》胴タックルとローリングで一気に0−3とされた鶴巻。パーテールポジションを守って1−3となったが、上からガッツレンチを失敗して1−5となり、敗れた。


 【74kg級】菅太一(警視庁)   41選手出場

予備戦 ●[1−2(3-1,1-2,TF1-7=1:50)] Alain Hassli(フランス)

 《1P》押し出されて1点許したものの、パーテールポジションになって、ガッツレンチをうまくかけて先取。

 《2P》もろ差しを取られて投げられた菅。上になったものの、脚が場外で出てしまい0−1とリードを許した。パーテールポジションはお互いにポイントなしで、1−2でで2000年欧州ジュニア・チャンピオンのハシリがこのピリオドを獲得。

 《3P》パーテールポジション戦になって、下から守って1−0へ。しかし、攻撃ではクイック・ホイッスルのため逃げられて、すぐに胴タックルを取られて1−3へ。リフトの防御で投げられて、1-7で終わった。



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