【優勝選手特集】女子63kg級・伊調馨(ALSOK綜合警備保障)【2007年12月23日】








 アテネ五輪を含め6年連続世界一で、全日本選手権も2002年以来ずっと勝ち続けている女子63kg級の伊調馨(ALSOK綜合警備保障)が、今年も同級の決勝の舞台に現れた。今年9月にアゼルバイジャンで行われた世界選手権で金メダルを獲得した伊調は、前日の計量を通過したことで来年の北京五輪の代表選手に内定。決勝では国内、いや世界にも敵なしの伊調に挑んできた松川絵里香(日大)を開始1分14秒でフォール勝ちし、世界と同じく6連覇を達成した。
 
 この日対戦した選手は3人。「相手が格下の選手だったのでそれなりの勝ち方をしなければいけないと思っていた」という世界女王は、その言葉通り、決勝を含めすべてのピリオドをフォールかテクニカルフォールで終え、2分かかったピリオドはなしという圧倒的な強さを見せつけた。

 第1試合の塚本真紀(鳥取県協会)との対戦で伊調がマット上にいた時間はわずか1分3秒。試合開始の笛が鳴るとすぐさま塚本の両足にタックルしそのまま後ろへ倒し3点。続けざまに同じ技で3点を加えて33秒で第1ピリオドを終え、第2ピリオドへ。ここも30秒でフォールを決め、体力を充分に温存したまま準決勝へ進んだ。

 準決勝の工藤佳代子(自衛隊)との試合では、工藤が技をかけようとした力を逆に利用しバックへとまわり1点。その後は、またさきの技を繰り出すなどで計7点をあげた。第2ピリオドでは30秒の間にローリング3連発で7−0とし、総タイムは2分8秒。決勝も1分14秒でケリをつけ、「この1年やってきたことの締めくくり」の大会での金メダルを確定した
(左写真=決勝も相手を寄せつけなかった伊調)

 試合後に口から出たのは優勝の喜びよりも、4年前のアテネ五輪後から姉妹2人で言い続けている「姉妹揃って金メダル」という言葉。いよいよ来年は2人の夢をかなえる舞台がやってくる。その時へ向け、「世界選手権でまだ入りにくいところがあった」という両足タックルにさらに磨きをかけていきたいと抱負を語った。

 自身の試合のあとに行われた女子48kg級で優勝した姉の千春と夢をかなえるまで満足はしない。

(文=藤田絢子、撮影=矢吹建夫)



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