【優勝選手特集】男子フリースタイル55kg級・松永共広(ALSOK綜合警備保障)【2007年12月23日】








 男子フリースタイル55kg級でベスト4に残ったのは、下馬評通りといえる、松永共広(ALSOK綜合警備保障)、湯元進一(自衛隊)、稲葉泰弘(専大)、田岡秀規(自衛隊)。だが、終わってみれば、松永の独壇場だった。4年連続優勝。2007年世界選手権代表という松永のプライドが試合結果にも爆発した。

 初戦となる2回戦の齊藤将士(警視庁)戦でフォール勝ちを収めると、3回戦の長尾武沙士(近大)戦は4−0、6−0(テクニカルフォール)で快勝。準決勝の相手は今年夏の欧州遠征で実力に磨きをかけている湯元。同じく準決勝まで文句なしの闘い方で勝ち上がっていた。

 そんな湯元だけに接戦が予想され、その通りになるが、勝者は松永だった第1ピリオドは0−0。コイントスで権利を得たのは松永。そのチャンスをきっちり押し出しで1点を奪った。第2ピリオドも押し出しで奪ったポイントをきっちり守り抜いた。

 決勝の相手は昨年のこの大会から3連勝中の田岡。3連勝中だが、「自信とかではなく、絶対勝たなければいけない試合だった」という。その言葉通り、松永のアグレッシブさが目立つ内容。右から差した手を切られても、差し手争いから片足タックル。さらに頭の上まで田岡を持ち上げてテークダウンを奪い
(左写真)、バックにも第1ピリオドを4−0で取った。

 第2ピリオドも勢いに乗って田岡の投げを耐え、タックルも切る。きっちりバックに回ってポイントを奪い、07世界選手権代表の意地と北京五輪にかける思いの差を見せつけた。「決勝戦はうまくタックルが決まってくれました。試合では何が起こるか分からないので、気をつけて闘うことを心がけました」と言う。

 今年の世界選手権を振り返った松永は「しっかりテークダウンを奪ってポイントを取れても、勝たなければ意味がない」と語る。世界選手権から帰国して、1週間くらい練習マットにも上がらなかったという。その理由は結果を忘れることしか考えられない。

 「アジア選手権では絶対勝って五輪の権利を勝ち取りたい」。その願いがかなう期待も可能性も十分に高い!

(文=三次敏之、撮影=矢吹建築)



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