【優勝選手特集】男子フリースタイル84kg級・鈴木豊(自衛隊)【2007年12月23日】








 男子フリースタイル84kg級は、74kg級のアテネ五輪代表の小幡邦彦(ALSOK綜合警備保障)の参戦で激戦が予想された中、今年の世界選手権代表の鈴木豊(自衛隊)が充実した試合内容で連覇を成し遂げた。

 準決勝で2005年全日本王者の山本悟(岡山・烏城高教)を退けた鈴木は、決勝で小幡を下して勝ち上がってきた06年全日本王者の松本真也(警視庁)と対戦。「74s級時代に一度も勝てなかった小幡にリベンジしたい気持ちはあった」と言うが、最大の目標は言うまでもなく優勝。鈴木はしっかりと集中して決勝のマットに上がった。

 第1ピリオド、鈴木はバックを取られ先制ポイントを許しながら、決して冷静さは失わなかった。松本には昨年の全日本選手権と今年の全日本選抜選手権で松本に連勝している。精神的に余裕があるのだろう。残り10秒で鈴木を場外に突き出し、ラスト・ポイントを奪った。

 第2ピリオドに入ると「集中して前に出ようと思った」という言葉通りにアグレッシブなレスリングを展開。タックルを決め、休まずにローリングを成功させ、最後まで攻める姿勢を崩さず、松本を突き放した
(右写真=松本を破って連覇の鈴木)

 初出場した今年の世界選手権は初戦であえなく敗退した。ショックは大きく、大会直後はなかなか練習に身が入らなかったという。それでも気持ちを立て直したのは悔しかったからに他ならない。もう一度、世界の大舞台に立つために、北京五輪につながる全日本選手権に照準を合わせてきた。

 「84kg級はアジアの国から3つの枠を取っている。(それらの国を除いた最上位の国の選手に資格がもらえるので)チャンスはある。ポイントを取れるところでしっかり取れるようにすれば、北京への道は開けると思う。ぜひ一発目のアジア選手権で出場権を取りたい」。まずは3月のアジア選手権にすべてを注ぎ込む腹積もりだ。

(文・渋谷淳、撮影=矢吹建夫)



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