【優勝選手特集】女子51kg級・坂本日登美(自衛隊)【2007年12月22日】








 女子51kg級で世界V5の坂本日登美(自衛隊)にとって、2007年は夢、北京オリンピック出場という夢が途絶えた年だった。しかし、別の夢を得た年でもあったかもしれない。

 今大会の甲斐友梨(K−POWERS)との決勝は、序盤から積極的に攻め込み、第1ピリオドは片足タックルからローリングを決めて3点。相手のタックルを切ってバックに回り1点。第2ピリオドでも積極的にタックルを仕掛け、2−0としてピリオドスコア2−0で快勝した
(左写真=甲斐を寄せつけずに優勝を決めた坂本)。これで5度目の日本一。坂本に笑顔が戻った。

 しかし、北京五輪出場の夢はすでに途絶えている。辛い気持ちはあった。五輪に出られないと分かっていながら、なぜ変わらぬレスリングを見せることができたのか。それは、今年の世界選手権で得た「誇り」があるからだ。51kg級は五輪にない階級だが、それでも、「自分の階級だ」という意識を持ち、誇りを持つことができた。「北京五輪に行けなかったら、引退しようと思っていた」というが、その誇りで、その気持ちを完全に振り切ることができた。

 その誇りを胸に、今は来年10月の東京開催の世界選手権を目指している。妹・真喜子(自衛隊)と一緒に出場し、2人で金メダルを獲ることが今の夢だ。五輪だけが夢ではない。今は一緒に戦う仲間がいる。いつも応援してくれる仲間がいる。その仲間がいる限り、坂本は頑張れるのだろう。

 「来年東京で、テレビとかではなくて、生で家族や仲間たちに優勝する姿を見せたい」。この強い気持ちを持って、坂本の新たな挑戦が始まった。

(文=神谷衣香、撮影=矢吹建夫)



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