【特集】ラスト6秒の逆転優勝! 12月は加藤賢三(自衛隊)に挑戦か…120kg級・北村克哉(専大)【2007年10月20日】








 全日本大学グレコローマン選手権の最終日のファイナルを飾る120kg級の決勝戦は、フリースタイル120kg級で世界選手権に出場したことがあり、今年からグレコローマンに力を入れ、全日本学生選手権(インカレ)96kg級を制した北村克哉(専大)が勝った。

 相手は体格で勝り、インカレの120kg級で3位に入賞している中村淳志(拓大)。北村はピリオドスコア1−1のあとの第3ピリオド、グラウンドの防御でガッツレンチを受けてしまい、0−2とされて後がない状況となった。

 ラスト30秒の攻撃。マットサイドでは久木留毅コーチが、小声で「(中村は)左(へのガッツレンチ)を守れない。右と見せかけて左だ」とアドバイスした。その言葉は北村の耳にしっかりと聞こえていたという。

 北村は、いったん持ち上げると、まず左へ回転。こらえられ、ひと息ついたと見せかけ、すぐに右へ、さらに左へと回転
(右写真=終了間際に執念の攻撃を見せた北村)。この上下と左右の連続攻撃に中村はついてくることができず、その体が一回転。ラスト6秒に2−2へ追いつき、ラストポイントの差で北村が辛勝。栄冠を手にした。

 「最後は必死だった。0−2とされたのは相手のフェイントに引っかかったから。強い相手だった」。激闘をものにし感激もひとしお。インカレの決勝もラスト数秒に試合を決めたものであり、最後の粘り強さこそがチャンピオンの座を引き寄せた要因。「負けず嫌いなもので」と照れながらも、満足そうな表情を浮かべた。

 6月の明治乳業杯全日本選抜選手権(加藤に続いて2位)、インカレと続けて96kg級に出たが、パワーアップの成果もあって現在の通常体重は約107kg。そのこともあり、今回は120kg級に出た。しかし、9月の世界選手権(アゼルバイジャン)で96kg級の加藤賢三(自衛隊)が五輪出場権を持ってきたので、12月の天皇杯全日本選手権は96kg級への出場が予想される。

 減量が11kgもあり、「まだ分かりませんけど…」と慎重な言葉が出る一方、「重量級ではオリンピックは厳しいと言われていた。出られるのはすばらしいこと」とも話し、オリンピックに直結している階級を避ける理由は見当たらない。「(96kg級に)出る以上は、今から節制と食事制限でしっかりと体をつくります」と乗り気十分だ
(左写真=逆転で学生二冠を制す、青が北村)

 来春の卒業後は、K−1を主催するFEGが獲得の意思を見せているそうで、もし加藤を破って日本代表ともなれば、北京五輪へ向けて最高の練習環境を得ることができそう。ここは何としても96kg級の体づくりに専念し、加藤の壁を乗り越えたいところだ。

 この日、96kg級で優勝した斎川哲克(日体大)も、従来は84kg級で闘っていた選手だが、日体大の安達巧監督は「本人と話し合うが、96kg級で五輪に挑戦させたい」と話しており、加藤のが城に挑むことが濃厚だ。

 五輪出場権を取ってきた加藤だが、国内でやっかいな学生選手の挑戦を受けなければならないようだ。加藤の独壇場と思われたグレコローマン96kg級が、一転して熱い階級になる−。



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