【特集】トップの位置見えた! 神奈川大学から学生二冠王へ…55kg級・峯村亮(神奈川大)【2007年10月19日】








 シルバーコレクター返上! 全日本大学グレコローマン選手権で55kg級の峯村亮(神奈川大)が初優勝を遂げた。試合内容は長い手を生かした自慢のガッツレンチがさえて完勝(右写真=決勝戦、ガッツレンチで先制、青が峯村)。大会初優勝とともに、8月の全日本学生選手権(インカレ)に続く学生二冠を達成。「素直にうれしいです」と、神奈川大学初の快挙に喜びの声を上げた。

 今年1月の天皇杯全日本選手権で3位に食い込んだものの、昨年までの学生タイトルは1歳上の長谷川恒平(当時青山学院大=現福一漁業)などの壁を超えられず無冠だった。昨年は「技術的に足りてない部分があった」とインカレ、国体などここ一番の大会ですべて2番。「ずっと2番で悔しかった」と、究極の“シルバーコレクター”だった。

 所属する神奈川大学は2002年に東日本学生リーグの一部に昇格。「僕が入学する(2004年4月)まではマットが一面でした。今は二面ありますけど」(峯村)と大学が強化に乗り出してからまだ日は浅い。しかし吉本収監督が9年前から強化をはじめ、02年には84kg級で増田和広が神奈川大初の大学グレコ王者に輝くなど、じわじわと結果を出し始めている。今では峯村が「環境は恵まれてます」と言うとおり、部員数も各学年10選手ほどで練習相手に不足はない。

 さらなるレベル向上を目指して、全日本合宿の召集がかからなくても自ら門をたたいて練習に参加し、ハングリー精神でトップ選手との差を埋め続けた。その成果が今年1月の全日本選手権3位という結果だ。「まだ長谷川さんには勝ってないけど…」と満足感はないが、表彰台を経験することで自信もつき、王者・豊田雅俊(警視庁)など国内トップとの差が具体的に見え始めたそうだ。

 峯村は11日前にも体重をリミットに落として秋田国体に参戦。決勝戦は“ミスター国体”の村田知也(三重・久居高教)と戦った。そこで峯村はまたも“定位置”の2位に終わっている。第1ピリオドは先制され、後がない第2ピリオド。試合を優位に進め、第3ピリオドで勝負をつけようと気持ちがゆるんだ残り1秒。「大丈夫だとちょっと油断してしまいました」と村田の意地のガッツレンチに屈した。8月のインカレ優勝を経験した直後の2位。ベテラン村田に善戦したという気持ちよりも悔しさだけが残ってしまった。

 その悔しさを晴らすかのような今回の優勝
(左写真=国体の二の舞を踏まず、しっかり守った峯村)。この快感を12月の全日本選手権でも味わいたいところだ。「あと2ヶ月ありますし、伸びると思っています」と、狙うは日本の頂点。王者・豊田の刺客と言われる全日本2位の平井進悟(ALSOK綜合警備保障)、ベテランの村田知也、若手のホープ・長谷川恒平と実力者がそろっている同階級。新たに学生二冠王の峯村が名乗りを挙げた。

(文=久坂大樹)



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