【特集】取られたピリオドはすべて僅差…女子67kg級・井上佳子(中京女大)【2007年9月23日】







 シニアの世界選手権に初出場した女子67kg級の井上佳子(中京女大)は、結果としてこの大会に優勝した景端雪(中国)とカティ・ドゥニング(米国)に敗れて5位。昨年、先輩の坂本襟が取った銅メダルの位置を守ることができなかった。

 両選手相手に落としたピリオドは、すべて1ポイント差か同点のラストポイントによる負け。そう大きな差はなかったが、メダルがあるとないとでは気持ちも違う。「自分のうっかりでポイントを取られてしまった。もっと細かい技術を身につけなければならない」と反省の言葉を口にし、「悔しいです」と絞り出すような声で話した。

 3位決定戦で闘ったドゥニングは昨年の名古屋ワールドカップで対戦し、敗れながらも0−1、0−1(延長)の大接戦。シニアでやっていける感触を得た相手。自分の成長度をはかるうえでも格好の相手だった。

 しかし第1・2ピリオドとも、タックルで攻めて押しつぶされ、こらえられなくなってバックへ回られて失点
(右写真)。「相手の組み手にまどわされ、自分の方から正面タックルに入らされた」と、相手の方が一枚上手だった様子。「攻撃のパターンが一緒。相手に合わせてしまう」と振り返り、もっと多彩なタックルの入り方の必要性を感じた様子だ。

 19歳で初出場。それで2勝を挙げたのだから、この面では評価されてもいいだろう。だが、勝った試合も「ポカがあった」として満足はしていない。世界最高の舞台の雰囲気を学ぶとともに、収穫の多い大会となったようだ。

 72kg級で出場権獲得がならず、67kg級の選手で五輪の道を目指して選手も出てきそうだが、井上は来年に向けてもオリンピック階級でない67kg級にこだわってレスリングを続けるつもりだ。「世界で金メダルを取らなければ、72kg級で勝つのは厳しい」。しっかりと地固めをするまでは、オリンピックは視野の外。今は確固たる基盤をつくる時期と考えている。

 そのためにも、12月の天皇杯全日本選手権は落とせない。「先輩(坂本襟、新海真美)との試合が待っている。絶対に勝って、来年へつなげたい」。チーム最年少選手の世界への挑戦はスタートしたばかりだ。

(文=樋口郁夫、撮影=矢吹建夫)



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