【特集】課題は「この悔しさを持ち続けること」…男子フリースタイル96kg級・小平清貴(警視庁)【2007年9月21日】







 男子グレコローマン96kg級に続き、男子フリースタイル96kg級でも小平清貴(警視庁)が進撃−。本戦で1勝、敗者復活戦で1勝を挙げ、五輪出場資格に“あと1勝”と迫ったが、アテネ五輪4位のダニエル・コーミエ(米国)に敗れ、悔しさいっぱいで大会を終えた。

 コーミエは午後のセッションの最初の試合だったのに対し、小平は2試合目。しかも試合と試合の間がわずか15分。「ウォーミングアップ場に戻って5分くらいしたら、もう会場に向かっていた。息がまだ上がった状態だった」という。

 しかし、これはルールに抵触することではない。本戦で上のラウンドまで行った選手にアドバンテージがあるのが敗者復活戦のルール。「これが勝負というものだと思った」と厳しく受け止め、「こっちの方が、(最初からエンジン全開にできるから)いいのかもしれない」と言い聞かせてマットに上がったという。

 考えたことは「勝つこと」だけ。3位決定戦に進めなかった場合、7・8位は勝ち点の合計で順位が決まる。1ポイントでも獲得すれば、負けても勝ち点が「1」となり、7位以下の順位争いには有利になるが、小平にはそうした消極的な気持ちはなく、「ここで勝てば、五輪出場資格なんだ」と思い続けていたという。

 コーミエには、最終的には5点のタックルを奪われて敗れたが
(右写真=ただし、米国の足が場外なので小平に1点が入らなければならないはず)、第1ピリオドはラスト15秒にタックルを受けるまで互角に闘えた。「(2回戦で負けた)イランもそうだけど、以前ほど力の差は感じない。力の差というより、ちょっとしたことが勝負を分けた」そうで、世界選手権で初めて2勝を挙げたことともに、実力アップを進めていることは間違いない。

 もっとも、その事実は小平の悔しさをやわらげる役目はしていない。「本当に悔しい。あと1勝…」。今後の課題を問われると、技術的なことではなく、まず「この悔しさを持ち続けて毎日の練習に臨むこと」を挙げたほどで、「帰国して、すぐにでも練習したい」という。

 悔しさを持って、まず練習することは加藤賢三がそうだったようにウエートトレーニングによるパワーアップ。加藤とは“ウエートトレーニング仲間”でもあり、その加藤の躍進には考えさせられるものがあるようだ。「重量級だってできることを、自分も見せたい。これからも加藤と練習し、五輪出場権獲得につなげたい」と、今後の躍進を誓っていた。

(文=樋口郁夫、撮影=矢吹建夫)



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