高塚紀行主将率いる4年生の絆でフリー王座は優勝だ!…全日本学生王座決定見どころ(下)【2007年9月20日】







 世界選手権真っ最中の9月21日に全日本学生王座決定戦が東京・駒沢体育館で行われる。春の東日本学生リーグ戦とは異なり、ワンデートーナメント方式で優勝校を決めるために重要なのは「勢い」だ。それには監督・選手・サポート陣たちの気持ちがひとつになることが不可欠だ。

 ことしの大学勢力図は、5月の東日本学生リーグ戦の覇者の日体大、準優勝の日大
(写真右)、予選リーグ2位の山梨学院大と早大が4強と言えるだろう。その中でハンデを背負って出場するのが日大だ。監督は、ナショナルチームの富山英明強化委員長。世界選手権開催日と大会がかぶってしまったため、日大レスラーたちは、監督不在というハンデを背負って優勝を目指す状況なのだ。

 それでも選手たちのモチベーションは落ちていない。層の厚さではライバル日体大が頭抜けているが、ベストメンバーだけを比較すると、日大も昨年の世界選手権男子フリースタイル60kg級3位で、全日本学生選手権(インカレ)優勝の高塚紀行、74kg級優勝の工藤豪己、84kg級準優勝の山縣養一という3本の柱がある。そこにインカレの96kg級ベスト8の畑俊介、120kg級ベスト8の高橋信一が加われば、十分に勝ち抜くための4勝は確保できる。

 これらの日大主力メンバーは全員4年生。この4年生には他大学に絶対負けないものが一つある。それが“絆”だ。昨年、日大は世界選手権代表(松本真也と高塚紀行)を2人も擁しながら無冠という屈辱を味わったこともあり、団体戦への意欲は例年以上。4年生のチームワークは抜群のようだ。

 8月のインカレで、全日本選抜王者の大沢茂樹(山梨学院大)に完勝し調子を戻しつつある高塚は「スランプ時に工藤がずっとそばにいてくれた」と、同期の励ましが復活の要因になったと話している。フリー王座は勢いとチームワークが重要なだけに日大の優勝の可能性は高まるばかりだ。

 大学の対抗戦はこの大会の後も、全日本大学グレコローマン選手権、全日本大学選手権と続くが、団体戦形式で行われるのはフリー王座が最後。高塚主将も「最後の団体戦ですから」と気合十分の様子。大学の集大成としてフリー王座奪取に燃える高塚主将。“前世界3位”輝きがフリー王座で爆発すれば、日大の2年ぶりの優勝も夢ではない。

(文=久坂大樹)



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