笹本先輩に続け! 世界選手権効果で二冠目を狙う日体大…全日本学生王座決定見どころ(上)【2007年9月20日】







 北京五輪の出場権をかけた世界選手権がアゼルバイジャン・バクーで行われているさ中、21日に東京・l駒沢体育館で全日本学生王座決定戦(通称フリー王座)が行われる。昨年は、決勝で拓大が早大を下して初優勝を遂げた。その勢いに乗って拓大は全日本大学選手権と全日本大学グレコローマン選手権の大学別対抗得点で優勝し、三冠を達成した。

 ことしの優勝候補の最右翼は春の東日本学生リーグ戦の覇者、日体大だ
(右写真)。8月に行われた全日本学生選手権(インカレ)で3位以内を確保できなかった階級は66kg級のみ。優勝2階級、3位が4階級と層の厚さではダントツ。ここに世界ジュニア選手権84kg級5位の松本篤史らが加わるから、頼もしい限りだ。

 18日、日体大ではいつも以上に気合の入った練習が展開されていた。それもそのはず。前日、日体大で練習をともにする笹本睦(ALSOK綜合警備保障)が世界選手権で日本勢として12年ぶりに銀メダルを獲得したからだ。吉報を受け、先輩に負けじと学生の熱もふだん以上にこもる。藤本英男部長も「笹本が銀メダルを獲った。みんなにとっても世界は遠くないんだよ」とゲキを飛ばしていた。

■最低目標の“四冠”に向けて視界良好!

 斎川哲克主将
(写真左)は「自分たちの代はまだフリー王座で優勝したことがない」と告白。自身初のフリー王座制覇に向けて、本職のグレコローマンの練習を返上してフリースタイル陣と完全合流。フリースタイル独特の技などを確認し合っていた。春のリーグ戦では優勝したが、予選リーグ戦で山梨学院大に黒星をつけられるなど“もろさ”も見られた。今回は「警戒してる大学はないです。全員が全力を出せば勝てるんで」と、完全勝利を誓った。

 フリー王座は1日4試合を勝ち抜かなければならない。日体大は、層の厚さはもちろん、「各階級の1、2番手が違うスタイルが多い」(安達巧監督)と、対戦相手によってのベストメンバーを組めることが強みだ。軽量級は富岡直希と石山雄平(どちらもインカレ3位)のダブルエースの存在が心強いが、それ以上に重量級が頼もしい。84kg級学生王者の門間順輝、96kg級同王者の斎川哲克で2勝は確実。両者ともに「言われれば4試合すべて出ます」と気合十分だ。

 また、若い力も確実に伸びている。春リーグ戦では中量級が穴だったが、74kg級でルーキーの山名隆貴がインカレで日大・工藤豪己相手にフォールを奪いかけるなど力をつけている。山名が大ブレークすれば、頼れる主将・斎川の前でも十分に勝利を決められそうだ。

 大先輩の笹本に続けるか? 日体大が“最低目標の四冠”に向けて負けられない一戦を迎える。

(文=久坂大樹)



《iモード=前ページへ戻る》

《前ページに戻る》