笹本睦(ALSOK綜合警備保障)が銀メダル獲得…世界選手権第1日【2007年9月17日】







 北京オリンピックの出場資格をかけた2007年世界選手権は9月17日、アゼルバイジャンの首都バクーのヘイダル・アリエフ・スポーツアリーナで開幕。男子グレコローマンの3階級が行われ、60kg級の笹本睦(ALSOK綜合警備保障)が銀メダルを獲得。日本協会の定めた規定により、北京五輪の代表に事実上内定した。

 笹本は、初戦(2回戦)のアドマティス・マドユナス(リトアニア)と3回戦のユーリ・ドゥビニン(ベラルーシ)にいずれも2−0で勝利。4回戦でラスロ・クリメント(ハンガリー)にピリオドスコア0−1からの第2ピリオドにフォール勝ちして逆転勝ち。準決勝でアテネ五輪金メダリストの鄭智鉉(ジュン・ジヒョン=韓国)を2−1で下し、決勝進出を決めた。

 決勝では昨年2位のダビッド・ベディナーゼ(グルジア)相手に第1ピリオドを先取するスタートだったが、第2・3ピリオドを落とし、金メダルに手が届かなかった。

 男子の世界規模の大会での銀メダルは、2000年シドニー五輪の永田克彦(グレコローマン69kg級)以来で、世界選手権では1995年の嘉戸洋(グレコローマン48kg級)以来12年ぶり。

 55kg級の豊田雅俊(警視庁)は初戦で04年欧州4位のパエェル・クラマラツ(ポーランド)を2−1で下したものの、2回戦で今年のパンアメリカン大会王者のヤグエニエル・エルナンデス(キューバ)に1−2で黒星。66kg級の飯室雅規(自衛隊)は、初戦(2回戦)で今年欧州5位のアルメン・アディキャン(アルメニア)に0−2で敗れた。

 各選手の成績は下記の通り。(撮影=矢吹建夫)


 ◎男子グレコローマン

 【55kg級】豊田雅俊(警視庁)    41選手出場

1回戦 ○[2−1(5-1,1-@L,4-0)] Pawel Kramarz(ポーランド)

 《経過》第1ピリオド、豊田は引き込んでの胴タックルで1点を取り、ガッツレンチで1点を追加。グラウンドの攻撃では、きちんと組まなかったとして警告を取られ2−1となり、スタンドで再開。30秒でポイントが取れずに2−2へ。しかしグラウンドの防御でホイッスル直後に体勢を入れ替えて3−2へ。横崩しでニアフォールを奪い、5−2とした。第2ピリオドはスタンド、グラウンドともとに両者が技を決められずに、1−1のスコアで終了。ラストポイントによって相手の勝ちとなった。

 第3ピリオドもスタンドは0−0。グラウンドで防御となった豊田はすぐに立ち上がって30秒を守り切り1−0へ。攻撃ではホイッスルから10秒後にがぶり返しを決め、4−0として勝った。

【1回戦第2P】第1ピリオドを先制し、幸先いいスタートを切った豊田(赤) 【2回戦第2P】グラウンドの攻撃でバック投げを狙う。

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2回戦 ●[1−2(2-AL,@L-1,1-5)] Yagniel Hernandez(キューバ)

 《経過》第1ピリオド、スタンドで0−0のあと、グラウンドの防御となった豊田が立ち上がろうとしたが、体勢を崩してニアフォールを奪われ0−2へ。しかし攻撃になるとガッツレンチを決めて2−2とし、ラストポイントによってこのピリオドを取った。第2ピリオドはスタンドで0−0。グラウンドの攻防はお互いにポイントを取れず、1−1となってラストポイントでキューバが取った。

 第3ピリオドもスタンドは0−0。コイントスで勝った豊田だが、攻撃でポイントを取れずに0−1。防御になると、立ち上がって胴タックル。ここで相手のそり投げが決まり、微妙な判定だったが相手に3点が入った。その後、1度ずつ場外に押し出し、1−5で敗れた。

【2回戦第1P】上位進出を目指してパンアメリカン王者と闘う豊田(青) 【2回戦第3P】勝負をかけた胴タックルをそり投げで返された。 【2回戦終了】守っていれば勝てた試合。結果論だが…。

 【60kg級】笹本睦(ALSOK綜合警備保障)     41選手出場

1回戦  BYE

2回戦 ○[2−0(4-0,@-1)] Svajunas Adomaitis(リトアニア)

 《経過》第1ピリオドのスタンドは0−0。コイントスで勝った笹本はローリングを2度決め、2点、1点で3−0。防御はしっかり守って4−0へ。第2ピリオドもスタンドで0−0となり、グラウンドもともに技が決まらずに1−1。ラストポイントを取った笹本がこのピリオドを取った。
【2回戦第1P】初戦は実績のあまりないリトアニア選手が相手の笹本(青) 【2回戦第1P】グラウンドの攻撃でローロングを2回転。

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3回戦 ○[2−0(5-0,3-0)] Yury Dubinin(べラルーシ)

 《経過》第1ピリオドのスタンドは0−0。グラウンドで攻撃となった笹本は、肩の上から手を回す変則のガッツレンチと普通のガッツレンチで4−0へ。防御をしっかり守り切って5−0へ。第2ピリオドもスタンドは0−0。相手の攻撃を守り切った笹本は、攻撃に転ずると、がぶり返しを決めて2点を加え、3−0とした。
【2回戦第2P】第1ピリオドを5−0で取った笹本(青)は余裕で第2ピリオドへ。 【2回戦第2P】相手のローリングをこらえる笹本。

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4回戦 ○[フォール、2P0:22(1-2,F4-0)] Laszlo Kliment(ハンガリー)

 《経過》第1ピリオドのスタンドは0−0。笹本はグラウンドの防御でしっかり守り1−0。しかし攻撃の時に俵返しの体勢が崩れ、場外へ押し出されて1点を失い、その後得点できずに1−2とされてこのピリオドを落とした。しかし第2ピリオド、相手の投げの体勢た崩れたところを押し倒し、そのままフォールへと持ち込んだ。
【4回戦第1P】五輪出場資格獲得まであと1勝。勝負をかける笹本(青)。 【4回戦第2P】第1ピリオドで不覚を喫したが、第2ピリオドでフォール勝ち。

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準決勝 ○[2−1(1-2,2-1,@L-1)] Jung Ji-Hyun(鄭智鉉=韓国)

 《経過》第1ピリオド序盤、偶然のバッティングで笹本の右目尻がら出血。スタンドで0−0のあと、笹本はグラウンドの防御でしっかり守り1−0へ。攻撃でがぶり返しを狙ったが体勢が崩れて1点を失い、最後は1−2となってこのピリオドを落とした。第2ピリオドはスタンドの45秒すぎに相手の体勢を崩してバックを取り1−0。その後のグラウンドの攻防はお互いに技がかからず、笹本が2−1で返した。

 第3ピリオドはスタンドで0−0。グラウンドはお互いに技が決まらず、1−1ながら最後の30秒を守った笹本の手が上がった。
【準決勝第3P】ピリオドスコア1−1で、勝負の第3ピリオド(赤が笹本) 【準決勝第3P】最後の30秒を守り切り、1−1ながらラストポイントで笹本の勝利。ガッツポーズでマット上を踊り回った。

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決勝 ●[1−2(3-0,1-@L,0-4)] David Bedinadze(グルジア)

 《経過》第1ピリオドのスタンドは0−0。グラウンドの攻撃権を得た笹本はがぶり返しを決めて2点を獲得。防御ではしっかり守り、3−0として先取した。第2ピリオドは0−0のあと、グラウンドの攻撃はお互いにポイントがなく、1−1のラストポイントで相手選手が取った。

 決勝の第3ピリオド、スタンドで0−0のあと、コイントスで勝った笹本が攻撃権。これはポイントを取れず、防御では見事なバック投げを受けてしまい、無念の銀メダルに終わった。

【決勝第1P】ガッツレンチを決めて第1」ピリオドを先取した笹本(赤)。 【決勝第2P】必死のガッツレンチだが、すっぽ抜けて自らの体が一回転。0点へ。 【決勝第3P】ラスト30秒の防御で、屈辱のバック投げを決められた。

【決勝第3P】あと一歩で世界王者を逃した。本当にあと一歩。 【表彰式】シドニー五輪を含めて8度目の世界大会で初の表彰台。 【表彰式後】無念さを隠して気丈にもインタビューにこたえる笹本。


 【66kg級】飯室雅規(自衛隊)    42選手出場

1回戦  BYE

2回戦 ●[0−2(2-3,0-5)] Arman Adikyan(アルメニア)

 《経過》第1ピリオドは0−0。グラウンドの防御となった飯室は俵返しを決められて3失点。攻撃でがぶり返しを仕掛けた時に、相手が手を飯室の脚にかけて防いだとして警告で2点を獲得したが、その後が続かなかった。第2ピリオドもスタンドで0−0のあと、飯室は攻撃でポイントが取れずに0−1。防御に回った飯室は俵返しで3点を失い、さらに場外へ押し出されて0−5とされてしまった。
【2回戦第1P】6度目の世界選手権のマットにかけた飯室(赤)だが…。 【2回戦第2P】第1ピリオドに続いて俵返しを受け万事休す。



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