【特集】無敵見せつけた国際派レスラー…男子グレコ60kg級・松本隆太郎(日体大)【2007年8月23日】







 全日本2位の松本隆太郎(日体大=
左・下写真)が、最短フォール賞(20秒)、最多フォール賞(2試合)を独占する圧勝で2年ぶりに全日本学生選手権を制した。

 決勝は元55kg級選手の倉本一真(山梨学院大)で、第2ピリオド、グラウンドの攻撃でポイントを取れずに1失点を喫してしまい、「悔しかった。この1失点が唯一の無念」と欲の深いところを見せた。

 昨年は決勝で先輩の北岡秀王(現クリナップ)に1−2で敗れて連覇ならなかった。「4年生の意地に負けました」と振り返る。その北岡には今年1月の天皇杯全日本選手権できっちりリベンジ。北岡が卒業した今年は、学生間で無敵というのは当然で、勝つだけではなく内容も問われた。悔やまれる1失点はあったものの、順調な成長を示した圧勝優勝だった。

 昨年は6月に世界学生選手権(モンゴル)に、9月に世界ジュニア選手権(グアテマラ)に出場。今年5月にはアジア選手権(キルギスタン)出場のチャンスももらい、もう立派な国際派レスラー。「その分だけ、勝たなければなりません」と自覚も十分。

 リフト技にこだわることなく、ガッツレンチで確実にポイントを取ることを考えるのも、世界での闘いを意識しているせいだろう。世界のトップレベルで競っている選手同士では、よほどのことがなければリフトは決まらず、ローリングで試合が決まるケースが多いのが現実だ。

 もっとも、世界で闘うことを考えるより、まず国内で笹本睦(ALSOK綜合警備保障)という大きな壁を破ることが先決だ。幸い、来春には“プロ選手”としてヤクルトへの入社が内定し、日体大で練習をやらせてもらえることが決まった。レスリング活動に専念し、日本代表権を奪取したいところ。

 「笹本さんだけでなく、北岡さんも、自衛隊の谷岡(泰幸)さんも下村(博)さんも、みんな強い。気を抜かないで頑張りたい」。世界一を目指す松本にとって、学生王座奪還は通過点であることは言うまでもない。

(文=樋口郁夫、撮影=矢吹建夫)


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