【特集】血筋のよさを見せ、キャリア3ヶ月で3位入賞…女子58kg級・坂本希和【2007年6月24日】







 日本レスリング界で初の全日本チャンピオン同士のカップル、栄和人・中京女大監督(1987年世界選手権3位)と坂本涼子・同部長(1992年世界選手権優勝)との間に生まれた長女・希和(愛知・大府北2年生)が女子58kg級に出場。準決勝で2年前の全国少年少女選手権で優勝している菅原ひかり(三重・一志)に完敗したものの、3位決定戦で勝ち、キャリア3ヶ月にして全国3位に入賞する殊勲。血筋のよさを見せた(右写真=3位決定戦に勝った直後)

 両親ともにレスリングの強豪で、ともに指導者にまわっていただけに、希和も幼い頃からマットには上がっていた。しかし、昨年までは音楽(トロンボーン)に打ち込んでおり、特にレスリングをやっていたわけではなかった。昨年ごろから「(父が指導する)至学館高校へ行ってレスリングをやりたい」と思うようになり、約3ヶ月前から中京女大の練習に加わるようになったという。

 5月の東海少年少女選手権で3位に入賞。今回は全国大会だけに、父・和人監督は「3位に入れれば上出来だ」と見守った。準決勝での黒星にも落ち込むことなく、3位決定戦では相手のタックルを確実切ってバックへ回る力がさえ、2−0で快勝。メダルを手にした。

 試合の最後に鼻を強打して鼻血を出すアクシデント。必死にこらえて勝ちなのりを受けたが、その姿は、あたか涙をこらえているふう
(左写真)。もしかしたら、涙が出ていたのかもしれない。「うれしい。でも、自分から攻撃できなかったので、来年は攻撃レスリングで優勝したい」。3位では満足できない。その負けん気は両親ゆずりか。時に練習の相手をする吉田沙保里選手(ALSOK綜合警備保障)によると、「パワーがある」という。

 父はパワーとスタミナ、そして負けず嫌いの闘争心で高校時代に106連勝を記録し、世界のメダルを手にした選手。母は少年少女レスリング教室の名門・吹田市民教室で小学校の頃からレスリングに打ち込んでおり、女子屈指のテクニシャンとして世界の頂点に立った選手。

 2人のいいところを受け継ぎ、吉田沙保里選手などの姿を見て育てば、日本の女子レスリングを支える選手に育つ可能性は十分。栄監督は「もし至学館に来たら、マットの上では親子の縁を切り、厳しく指導する」と、その日が待ち遠しそう。23年前の全日本選手権で敗れ、ロサンゼルス五輪の道が断たれたのはこの体育館。ほろ苦い思い出の地でのまな娘の“ホップ”がうれしそう。ジャンプ、ステップの日は?


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