【特集】「励ましてくれた人に恩返しがしたい」…女子59kg級・正田絢子【2007年6月11日】








 三つ巴となったプレーオフは、第1戦で全日本チャンピオンの西牧未央(中京女大)がジャパンビバレッジクイーンズカップ2007覇者の山名慧(中京女大)に勝利。その西牧を特別推薦の世界チャンピオン、正田絢子(ジャパンビバレッジ)が下して世界選手権出場を決めた。

 正田はやはり強かった。初の世界選手権出場を目指す西牧とのプレーオフは、なかなかポイントを奪えないもどかしい展開となりながら、終始ペースを握っていたのは世界チャンピオン。最後は力強いタックルをきっちり決めて得点し、大阪・吹田市民教室の後輩を突き放した
(左写真:西牧と闘う正田=赤)

 1月の全日本選手権と4月のクイーンズカップで63kg級の五輪金メダリスト、伊調馨(中京女大)に連敗。悲願の北京オリンピック出場はほぼ絶望的な状況となり、失意のどん底に落とされた。

 それでもすぐに前を向こうと努力するところが正田の強さだった。クイーンズカップ終了からわずか2日後に「みんなに励ましてもらったし、世界一になられチャンスがあるなんてありがたい話」とプレーオフ出場を決意。そのプレーオフを制して世界選手権出場をしっかり決めると、「最初はすごくつらかったけど、今はチャレンジして本当に良かったと思う」と満面の笑みを見せた。

 世界選手権で目指すは言うまでもなく金メダル。「必ず金メダルを取って励ましてくれた人たちに恩返ししたい」と胸を張る正田の顔には、世界チャンピオンとしてのプライドに満ちていた。

(文=渋谷淳、撮影=矢吹建夫) 


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