【特集】世界V5へ向けての闘志で勝利…女子51kg級・坂本日登美【2007年6月11日】








 4月14日の「ジャパンビバレッジクイーンズカップ2007」に55s級で出場してから約2ヶ月。世界選手権代表権をかけた51kg級のプレーオフは、特別推薦選手として挑んだ坂本日登美(自衛隊)が柴田瑞穂(中京女大)勝ち、3年連続の世界選手権出場を決めた(注・全日本チャンピオンの服部担子は体調不良で棄権)。

 坂本は、試合開始のホイッスルが鳴るや、5月にキルギスで行われたアジア選手権で銀メダルを獲得し世界選手権初出場を目指す柴田の前に大きく立ちふさがった。第1ピリオド、柴田に全くつけ込むすきを与えず、自分のレスリングスタイルを貫いて、スコアは1−0ながら余裕の内容。第2ピリオドに入るとさらに本領を発揮し、柴田を自在にコントロール。次々と技を繰り出してポイントを重ね4−0。点差以上の圧勝で
(右写真)、5度目の世界選手権出場を決定した。

 坂本が見せつけたのは、格の違いだけでなく、世界V5へ向けての闘志、そして、55kg級だろうが48kg級だろうが出場の可能性がわずかでも残されている限り、オリンピックを諦めず挑み続けていく決意だった。

 試合後の勝利者インタビュー、坂本は涙ながらに語った。「4月のクイーンズカップでは、シニアになって初めて決勝に進めないという屈辱を味わい、レスリングをやめようと思いました。でも、今日こうして勝つことができ、また世界選手権に行けるようになってよかってです。自衛隊体育学校の監督、コーチ、チームメートをはじめ、たくさんの人に励まされ、支えられたおかげです。必ず世界一になります。妹(真喜子=48kg級)も私もオリンピック出場はは難しくなっていますが、これからも2人でがんばります」−。

 オリンピック階級だろうがなかろうが、そんなことはかまわない。今度は51kg級史上最強と評される坂本日登美のレスリングを、9月アゼルバイジャンで世界に見せつけてほしい。

(文=宮崎俊哉、撮影=矢吹建夫) 


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