【特集】視線はグルジア遠征、そして世界選手権…グレコローマン84kg級・松本慎吾【2007年6月10日】





 世界1本に照準を絞る男、松本慎吾(一宮運輸)がグレコローマン84kg級で勝ち、8連覇を達成(下写真:決勝で闘う松本=赤)。視線を早くも9月の世界選手権(アゼルバイジャン・バクー)に向けた。

 初戦で日体大の後輩、斎川哲克にポイントを奪われる“ハプニング”はあったものの、圧倒的な強さは相変わらず。ただし、コンディションは決して万全ではなかった。ゴールデンウィーク中の練習で、伝家の宝刀、俵返しをした際、右ひざのじん帯を負傷した。けがをした理由が松本らしかった。

 「国内であれば一つのパターンでも投げられるけど、海外だとそうはいかない。無理な姿勢から投げるとか、フェイントをかけるとか、いろいろなパターンを練習していた時にヒザを痛めてしまった」

 国内大会が終わり、世界へのあくなき挑戦に向けた準備がこれから始まる。その第一弾が、7月2日から60kg級の笹本睦(ALSOK綜合警備保障)とともに行うグルジア遠征だ。選手層の厚い東欧の猛者たちとスパーリングを重ね、ブルガリアの国際大会に出場して帰国するプランを立てている。

 「世界選手権はベスト8にはだいたい入っているので、今回は必ずメダルを取りたいと思っている。オリンピックの前年の世界選手権で上位に入っている選手は、本番でもいい成績を収めていますから」

 常に世界を見据えながら孤軍奮闘の努力を続ける松本。オリンピックに向けて弾みをつけるためにも、首からメダルを提げたいところだろう。

(文=渋谷淳、撮影=矢吹建夫) 




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