【特集】欧州遠征の反省が生かされ日本代表を奪取…フリースタイル84kg級・鈴木豊【2007年6月10日】








 1月の全日本選手権で優勝し、初めてビッグタイトルを獲得した鈴木豊(自衛隊)が好調を維持。決勝でドーハ・アジア大会5位入賞の松本真也(警視庁)を退け、秋の世界選手権でワールドデビューすることになった。

 “全日本王者”鈴木の強さは本物だった。決勝のパフォーマンスが何よりの証拠だ。第1ピリオド、まずは絶妙のタイミングでタックルを決めると、第2ピリオドにも松本の動きを読みきってスピード感あふれるタックルをヒット。しっかりポイントを獲得し、相手の反撃を最小失点に抑えて逃げ切るレスリングは、チャンピオンにふさわしい内容だった。
(左写真:決勝で闘う鈴木=赤)

 全日本選手権優勝で波に乗った鈴木は3月の欧州遠征でさらに大きくなっていた。「ヨーロッパでは勝っていながら最後に追いつかれて逆転されるパターンが多かった。今回はその反省から、勝っている時の最後の30秒の闘い方を練習した」。欧州遠征の反省が早速、松本戦に生かされたのである。

 鈴木にとって世界選手権は初出場となるが、日本代表選手としての意識は非常に高い。「今日、応援にきてくれていた自衛隊体育学校の近代五種の選手が既に五輪出場を決めている。レスリングでも必ず出場枠を取ってきたい」。世界選手権の目標は五輪出場枠が獲得できる8位以内。昨年出場したライバル松本が10位だっただけに、入賞宣言には力がこもっていた。

(文=渋谷淳、撮影=矢吹建夫) 


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