【特集】亡き橋本真也さんに捧げる優勝…グレコローマン96kg級・加藤賢三【2007年6月10日】







 グレコローマン96kg級は昨年まで2年連続の世界選手権代表であり、全日本王者の加藤賢三(自衛隊)が強さを発揮した。

 1月の全日本選手権の決勝で闘った山口竜志(当時拓大)はプロレス入りし、ライバルと目される選手はいなくなった。しかし油断することなく闘い、スタンド戦での差し押しで相手を圧倒。スタンド戦は流すだけの選手も目につく最近の主流パターンの中で、これだけスタンドでポイントを狙いにいく姿勢は目立った。

 しかし決勝の北村克哉(専大)では
(左写真)、スタンド技が不発。「スタンドでポイントを取って勝ちたかったけど、できなかった。残念です」と欲の深いところを見せた。

 北村は昨年のフリースタイル120kg級世界選手権代表選手。グレコローマンに方向転換してこの階級に参戦し、決勝まで進んできた選手。得意のスタンド攻撃で圧倒することはできなかったが、2−0(1Last-1)で快勝するあたりは、グレコローマン一筋でやってきた選手の意地か。

 今大会は、決勝の入場時にその選手の指定した音楽が流れ、そこを入場してくる演出がほどこされた。加藤の選んだ曲はプロレスラー、橋本真也さん(故人)のテーマ曲の「爆勝宣言」。同選手のファンだったそうで、「天国から橋本さんが会場にやってきてくれた。『気合を入れろ!』と励ましてくれました」と言う。

 アゼルバイジャン(今年の世界選手権開催地)でも勇気づけてくれることだろう。

(文=樋口郁夫、撮影=矢吹建夫)


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