【特集】闘志空回りで初戦敗退…男子グレコ120kg級・新庄寛和(自衛隊)【2007年5月13日】







 昨年のアジア選手権(カザフスタン)で1勝も挙げることができなかった日本グレコローマン・チーム。120k級代表の新庄寛和(自衛隊)は「2005年のアジア選手権(中国)を経験している自分が、グレコローマンの初日、まず1勝を挙げてチームを勢いづかそう」と意気込んでいた。

 1回戦の相手は、タジキスタンのツイチエフ。ムロジョン。データの全くない選手だったが、コーチ陣から「タジキスタンに強い選手はいない」と言われ、「チャンス!」と思い試合に臨んだ。だが、結果は0−5、0−6。スタンドでは力の差は感じず互角に戦ったものの、グラウンドでは俵返し、ローリングを連発される一方
(右写真)、全く攻撃できず完敗てしまった。

 新庄は「パワーの違い、特にここというときの瞬発力の違いを感じました」と語っていたが、所属する自衛隊のコーチでもある伊藤広道・全日本コーチからは「基本的なことができていない」と厳しく指摘された。「クラッチの組み方、クリンチからの逃れ方、練習でやってきたことができていない。外国人選手とのパワーの違いは初めからわかっていること。そうした基本的なことをしっかりやって、技術でカバーしていかなければならないのに。それができなければいつまでたっても勝つことはできない」。

 昨年12月ドーハで行われたアジア大会に、グレコローマン、フリースタイルとも重量級の96s級、120s級は派遣なしという厳しい決定をされた。このままでは総合競技大会だけでなく、世界選手権やアジア選手権にも重量級を選手を派遣する必要なしとされかねないだろう。

 軽・中量級からは世界で活躍する選手が次々と現れ、レスリング王国復活が確実に近づいる今こそ、重量級選手にとっては踏ん張りどころ。日本ならではの細かな技術、駆け引きを身につけ、体格的なハンデを克服して、世界と互角に渡り合える力とつけて欲しい。新庄をはじめ、重量級の選手たちの奮起が期待される。

(文=宮崎俊哉)


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