【特集】3試合を闘うことができ、貴重な経験…男子グレコ84kg級・太田充洋(大分・津久見高教)【2007年5月13日】







 各国が軒並み一線級の選手を出してきた男子グレコローマン。全日本王者の出場でないこともあって苦戦が予想された日本陣営の中で、初日、唯一白星を挙げたのが84kg級の太田充洋(大分・津久見高教)。初戦でカタール選手を破り、日本勢の全滅を救った。

 3位決定戦で負けたため、「話すことは何もありません。負けてしまっては…」と言葉少なだが、3試合を闘うことができ、「経験を積むために出場した」という所期の目的は達成できた。地方に住んでいると、どうしても練習の量も質もたりないため、日本で練習する何倍もの価値ある1日になったに違いない。

 準決勝で闘ったタフマセビ・サマン(イラン)は、昨年世界3位の選手。「右のローリングが強かった」そうで、力とかの問題ではなくタイミングが素晴らしく、こらえる間もなく転がされたという。「力で回してくれば、こらえ、踏ん張って耐えられるかもしれない。でも、そうではない。体重移動のうまさかな? あっと思う間に回された」そうで、こうしたうまさが世界3位の技術なのだろう。

 地方在住であっても、来年の大分国体出場を目標に、まだまだマットに情熱を燃やすつもりだ。「松本(慎吾)さんには相手にされていない」と言うが、それでも目標としていつも念頭に置いて練習している。「松本さんを目標にしているから、頑張れる。こうした経験をきっかけに、少しでも実力を接近させたい」と言う。

 この4月から津久見高の教員に赴任し、指導者の道も歩むことになった。「生徒に頑張るところを見せたい。現役としてできるのも、あとそう長くはない。国際大会の機会をもらえれば、すべて出て、頑張っていきたい」。地方教員の今後の意地を期待したい。


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