【特集】あわやW敗王者撃破にも笑顔なし…男子グレコ66kg級・清水博之(自衛隊)【2007年5月13日】







 2〜3月の欧州遠征に続いて国際舞台で闘うチャンスを得た男子グレコローマン66kg級の清水博之(自衛隊)は、初戦で世界2位のカナト・ベガリエフ(キリギス)に完敗。運よく3位決定戦へ進むことができ、今年のワールドカップ王者のアリ・モハマディ(イラン)にピリオド・スコアは0−2ならが、スコアは1−1、1−1(ともにラストポイント差)と善戦した。

 攻守の順番が逆だったらワールドカップ王者撃破の殊勲だっただけに惜しまれるが、清水は、結果としてポイントを取れないで(グラウンドの30秒を守ったことによる1点を除く)負けたことに加え、初戦が「何もできなかった」と表情は暗い。世界2位の選手はすべてにおいて違ったそうで、第1ピリオド1分5秒、第2ピリオド1分3秒の試合時間が実力差を物語っている。

 「世界2位の選手の力を10と仮定した場合、自分の力は?」という問いにも、「点数なんて、つけようもない」と口にするほどの実力差。現在のグレコローマンはスタンドではあまり勝負をかけないことが多いが、ベガリエフはスタンド戦から全力勝負。攻めるすきがなく、やっと攻められたと思ったら、うまく合わせられてポイントを取られたという。もちろんグラウンドの強さもあり、「リフト技
(右写真)の仕掛けも早く、瞬発力もすごかった」と言う。

 昨年までは国際大会の経験はなかった。欧州遠征で2大会を経験したので、今回はその時ほどの緊張はないと思われたが、大会の規模が違うせいか、「今回の方が緊張した」と言う。これが大陸選手権の、そして“日本代表”として出場するプレッシャーというものか。しかし、世界で飛躍するには、この壁は絶対に乗り越えなければならない壁だ。

 全日本2位に躍進したホープの“勉強と経験の海外遠征”が終わった。2連敗だったとはいえ、世界トップクラスの選手の実力を肌で感じ、ビッグイベントの雰囲気を経験できたことは、日本にいて練習しているだけでは学べないこと。この成果を6月の明治乳業杯全日本選抜選手権で出したいところだ。


《iモード=前ページへ戻る》

《前ページに戻る》