【特集】初戦黒星に発奮しての銅メダル…女子59kg級・山名慧(中京女大)【2007年5月12日】







 アジア選手権には2度目の出場となる59kg級の山名慧(中京女大)は、初戦で中国選手に無念の黒星を喫したが、3位決定戦で勝って銅メダルを獲得した。

 前回代表に選ばれたのは2004年の東京大会。本人いわく、「有力選手がこぞってオリンピック階級の55kg級、あるいは63kg級にまわった“残り”が、たまたままわってきただけの出場だった」。結果は惨敗。アテネ五輪を前に、地元で伊調千春・馨、吉田沙保里、浜口京子が華々しい活躍を見せて優勝を飾るなか、実力の違いを嫌というほど思い知らされ、悔し涙を流した。

 今回は違っていた。2005・06年の世界選手権59kg級チャンピオンの正田絢子(ジャパンビバレッジ)は63kg級に上げたものの、強豪選手ひしめく中で自らの力で勝ち取った代表と自覚してキルギスに乗り込んだ。

 前日、浜口京子と吉田沙保里が実力の違いを見せつけて金メダルに輝いたのを見て、「自分も」との思いを強めて臨んだ1回戦。相手は中国のヤン・センリアン。第1ピリオド、1点をリードされた展開から、1分55秒に執念のタックルを決め
(右写真)、2−1と逆転。だが第2ピリオドを0−4で落とし、第3ピリオドもローリングなど受けて全く攻め込めずに0−7。ピリオドスコア1−2で敗退した。

 未知の相手だったが、“中国”という響きに萎縮してしまったことは否めない。しかし、「このままでは終われない」。今回の遠征で同室の吉田からもアドバイスを受け、気持ちを入れ換えて臨んだ3位決定戦は、サロマト・クチモバ(ウズベキスタン)にタックルを連発
(左写真)。第2ピリオド56秒、鮮やかなフォール勝ちで圧勝した。

 銅メダルを首にかけた山名の次の目標は9月の世界選手権(アゼルバイジャン・バクー)。そのためには、6月10日に行われる西牧未央(中京女大)とのプレーオフを制し、さらに世界V3の正田に勝たなければならない。アゼルバイジャンへの道は遠い。それでも、世界選手権3度優勝のチャンピオンへの壁に挑んでいく。

(文=宮崎俊哉)


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