【特集】銅メダル獲得にも恩師からの厳しいゲキ…女子67kg級・新海真美(中京女大)【2007年5月12日】








 世界ジュニア選手権やユニバーシアードで優勝し、ワールドカップ出場の経験もある67kg級の新海真美(中京女大)が準決勝で不覚を喫し、アジア・チャンピオンを逃した。

 準決勝のダリア・カルペンコ(カザフスタン)戦は、第3ピリオド、1−2から豪快なタックルを決めて3−2と逆転した。残り時間は約20秒。ここで流せば勝てたが、タックルにいき、回り込まれて3−3へ
(右写真)。ラストポイントによって相手の勝利となってしまった。新海のタックルの直後、スコアボードにはわずかの間、2−2と表示されており、ビッグポイントの差で負けていると思った新海が攻撃を仕掛けたと思われたが、新海は「ポイントは分かりました。もう1点を取るつもりで攻めました」と説明する。旺盛な攻撃精神が裏目に出てしまった感じだ。

 3位決定戦は、そのうっぷんを晴らすかのように攻め、第1ピリオドこそ2−0だったが、第2ピリオドは7点を取って圧勝。今後につながる試合結果で締めくくった。

 しかしセコンドの栄和人監督(中京女大職)は「何を怖がっているんだ。テークダウンして一呼吸おいたら駄目だ。なぜ練習の時のようにすぐ攻撃できないんだ」と、試合後の新海に厳しい言葉を投げかけた。タックルで倒してバックを取っても、そこで一呼吸おかず、すぐにフォールを狙って攻めることを教えているそうで、「練習ではきちんとできるのに、試合で全くできていないから怒った」と言う。

 「実力が競っていて、1点勝負となる相手なら、それでもいい。実力差がある相手に対して、1点ずつ取る闘いでは駄目。倒して一気にフォールに持っていかなければ駄目なんだ」と栄監督
(左写真=テークダウンを取り、一呼吸おいてしまう新海)。期待があるだけに、一見すると圧勝と思える銅メダル獲得にも、厳しいゲキを飛ばした。

 新海は「怖がっていました。練習ではできるのに、試合ではどうしても一気に攻め込めない」と話し、相手のカウンター攻撃を警戒するあまりそうなってしまうようだ。「期待があるからこそ、厳しく言われたことは分かっています」と、この言葉を受け止め、今後も実戦経験を積んで克服していきたいという。

 「今は世界選手権代表決定のプレーオフ(6月10日、相手は井上佳子=中京女大)に勝つことに集中します。そこで勝って、世界選手権できょうの相手にリベンジしたい。ヨーロッパの選手にも勝って、世界一を目指します」。銅メダルは新たな挑戦のスタートだ。

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