【特集】昨年の三冠王者・拓大が、“昨年の忘れ物”を取りにいく…東日本学生リーグ戦【2007年5月10日】







 昨年、創部初の団体戦三冠王(全日本学生王座決定戦、全日本大学グレコローマン選手権、全日本大学選手権)に輝いた拓大。両スタイルで活躍する選手が偶然そろっての快挙だった。西口茂樹コーチも「拓大の指導をして今年で13年目。去年は一番勝つ自信がありました」と振り返る。

 快挙を支えたのは、最上級生だった湯元進一(2006年フリー55kg級国体王者=現自衛隊)、84kg級の磯川孝生(2006年同級学生王者)に、96kg級には山口竜二(全日本選抜選手権グレコ同級王者=現プロレスラー練習生)の三本柱であり、全日本レベルの大会で常に上位に進出する中量級の藤本浩平、米満達弘だ。どんな相手でも確実に4勝が計算できた年だった。

 しかし、この布陣で臨んでも落としてしまったタイトルがある。それがリーグ戦だ。「三冠はうれしいですけど、本当は四冠できると思っていました。楽に勝てるとは思っていなかったけど、4勝は確実かなと。そうしたら、出だしたのリーグ戦でつまずいてしまったんです」と勝負の怖さを西口コーチは強調した。

 今年こそ四冠といきたいところだが、前述の4年生が抜けてチームの戦力ダウンは否めない。だが、昨年まで偉大な先輩に囲まれていた藤本主将
(右写真)は、「昨年より戦力はだいぶ落ちるけど、それなりにいいチームに仕上がってきました。決勝に進出して優勝したいです」と、今年も常勝拓大を見せつけるつもりだ。

 今年の拓大は中量級の藤本と米満
(下写真)の白星は計算がつく。残り2つをどこで取るかが課題だ。120kg級には中村淳志(2006年グレコ学生2位)の存在も大きいが、アップまで勝負をもつれさせたくはない。

■4年生が抜けた穴は、ルーキーが埋める!

 西口コーチは「去年の4年生の穴は新人たちがやってくれます」と、60kg級にエントリー予定の岡本佑士(静岡・飛龍高卒)、内村勇太(佐賀・鹿島実高卒)の名前を挙げた。今年の新人は磯川ら昨年の4年生を上回る才能があるそうで、入学してはや1ヶ月で平井進悟(現在はグレコローマンの選手だが、2001年には全日本選手権フリースタイル58kg級で王者へ)と五分のスパーリングをこなすそうだ。

 しかし、藤本、米満、そしてスーパールーキーが活躍してもあと1勝を取らなければ負けてしまう。そこで西口コーチが期待するのは、昨年の全日本学生選手権フリースタイル55kg級でベスト8の中村弘だ。昨年まで大学対抗戦の主要カードはすべて湯元進一が出たため、大一番の経験値は低いが、2002年に静岡・沼津学園高(現飛龍高)が全国高校選抜大会で初優勝したときの先鋒で、度胸は十分。主将の藤本も「先に1勝を挙げてくれれば、あとがやりやすいので」と期待を寄せた。

 西口コーチ曰く、「藤本と米満以外は、全員が“練習チャンピオン”状態」の拓大。本番でそのポテンシャルを発揮できるか。大幅にメンバーが入れ替わり、生まれ変わった拓大が、きょう10日から始まる東日本学生リーグ戦(東京・駒沢体育館)で昨年の忘れ物を取りに行く!

(文・撮影=増渕由記子)


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