【特集】一発のそり投げで流れが変わった…男子フリー74kg級・長島和幸【2007年5月9日】








 初戦(2回戦)でワンナ・シッチチャイ(タイ)をあっさり料理した長島は、準決勝でウー・ジジアン(中国)に第1ピリオド、2−0とリードし、いいペースで試合を運んでいた。しかし終了間際、四つ組になって攻撃したところを見事なそり投げ気味の投げ技を受けてしまい(右写真)、2−3と逆転。ここを境に、すべてが悪い方向へ流れたようで、メダルに手が届かずに終わった。

 3位決定戦で若い韓国選手に負けたあとは、長い時間、ウォーミングアップ場の端に座ってうなだれたまま。その様子にショックの大きさがうかがえた。「情けないというか…」。やっと気を取り直してインタビューを受ける気持ちになった後も、思うように言葉が出てこない。「オリンピックの前年。もう、反省するとか、そんなことを言っている時期じゃないんですけど、反省することばかり」と、試合内容を悔やんだ。

 流れが変わった中国選手のそり投げは、「2点差で、あと数秒」ということで油断があったそうだ。だが、「それも実力です」ときっぱり。「そういうことがあっても、気持ちを立て直すことができなければならない。3位決定戦は、中国戦の負けを引きずってしまった」と自分を厳しく責めた。

 「まあ、反省という時期ではないけど、急に強くなるものでもない。反省点をひとつひとつ直し、できることを確実にやれるようにして実力をつけていきたい」。1月末に全日本チャンピオンに輝き、欧州遠征とアジア選手権という2度の海外遠征を経験したが、これらはあくまでも修業の場。弱点を体で知ったことは大きな収穫。これらの経験を、6月の勝負(全日本選抜選手権)で生かしたいところだ。


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