【特集】次の目標はシニアの世界選手権出場…男子Jr・フリー120kg級・荒木田進謙(専大)【2007年4月23日】







 シニアの大会でも世界選手権出場を狙う荒木田進謙(専大=右写真)が、右ヒザの負傷というハンデを背負いながら地力の差を見せて3年連続ジュニアの頂点に立ち、最優秀選手に贈られるJOC杯を獲得した。

 しかし、簡単な優勝ではなかった。大会の1週間ほど前のスパーリング中に右ひざを負傷し、歩くのもやっとの状態。佐藤満コーチから「出ないなら出なくてもいい。でも、出るんだったらちゃんと優勝しろ」と言われて出場を決意。「まずはポイントを取られないように心がけた」との言葉通り、ディフェンスを重視した負けないレスリングで師匠の指示をしっかりと守った。

 青森・光星学院高2年生の時の2004年と3年の時の2005年に、ともに全日本選手権で2位に輝き、若くして最重量級のトップ戦線へ仲間入りした。昨年のアジア・ジュニア選手権(アラブ首長国連邦)では2ヶ月後の世界ジュニア選手権(グアテマラ)で準優勝したイラン選手を下して優勝した。

 今年の世界ジュニア選手権(8月・北京)は、もちろん上位進出が期待されるが、シニア大会でも活躍する荒木田の当面の目標は6月に開かれる明治乳業杯全日本選抜選手権。つまりアゼルバイジャンで行われる北京五輪の予選でもある世界選手権への出場である。

 そのための最大の壁は、言うまでもなく大学の先輩でもある全日本王者の田中章仁(FEG)。1月の全日本選手権では決勝でフォール負けを喫し、第1人者に6連覇を許してしまった。

 「目標はあくまでもオリンピック」という荒木田にしてみれば、田中の独走をこれ以上許すわけにはいかない。「田中先輩は動きが速いし、リーチが長くて万能型。スタミナのある外国人みたいな選手。でも、相手が先輩とはいえ気持ちでは負けないようにしたい」。それまでの間に東日本学生リーグ戦もあり、右ひざのけがは気になるところだが、“打倒田中”に燃える荒木田に休む暇はなさそうだ。

(文=渋谷淳)


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