笹本睦、平井進悟(ALSOK綜合警備保障)が米国遠征へ【2007年3月19日】







 ドーハ・アジア大会男子グレコローマン60kg級金メダリストで、7年連続全日本王者に輝いた笹本睦選手(ALSOK綜合警備保養)が3月18日、同55kg級全日本2位の平井進悟選手(同)とともに米国コロラドスプリングズへの遠征に出発した(右写真:笹本選手=右=と平井選手)。4月2日に帰国する。

 国内では、全日本合宿を含めてどのチームの練習に加わっても実力差のある選手が練習相手になり、「どうしても油断が出てしまう。強い選手とやりたい」という笹本に、当初はカザフスタンへの遠征が打診された。しかし、「カザフスタンの代表(ヌルバキト・テンギズバエフ)にはアジア大会で勝っているし、他の選手も強いとは思わない。練習にならない」として、旧ソ連やイランへの遠征を希望したそうだ。「旧ソ連には、見たこともない選手でも、信じられないくらい強い選手がいる。そんな中で練習してみたい」と言う。

 しかし受け入れが難しいとのことで実現せず、打診する中で米国がこの時期にナショナルチームの本格的な練習をやることが分かり、受け入れてくれることになったという。

 米国のグレコローマンは、世界的に見ると決して強くはないが、同級の昨年の世界王者は米国のジョセフ・ウォーレン
(左写真)。「世界王者がいることが決め手のひとつだった」という理由のほか、標高1700メートルの高地なので心肺機能の強化に役立つと決断したという。

 笹本自身はウォーレンを“強い世界チャンピオン”とは思っていない。2003年のデーブ・シュルツ国際大会(米国)の準決勝で闘い、4−2で破った選手であり、今年2月の同大会では、笹本がアジア大会の時に2−0(ABig-2,4-1)で破ったテンギズバエフ(前述)が破っている。「神経が切れやすい選手なんです。徹底的に切れさせてやりますよ」と、手の内を隠すことなく完ぷなきまでに叩きのめすことを宣言。「弱くて練習にならないと思えば、練習はやりません。1階級上の選手をつかまえてやります」とまで言い、恐れる気持ちは全くない。

 笹本選手は昨年、4月にドイツとハンガリーへ単独修業。8月には全日本チームの遠征でトルコへ行き、元世界王者シェレフ・エログル(トルコ)と連日練習を積んだ。世界選手権では結果が出なかったものの、12月のアジア大会で金メダルを獲得して成果を出した。外国選手と肌を合わせて強くなっただけに、今回の米国修業の成果が楽しみ。

 55kg級の平井選手は、「1階級上の世界チャンピオンの練習に関心がある。機会があれば練習してみたい」と、この遠征を機に飛躍を狙う。全日本選手権の準決勝で2−0(4-0,2-0)で破った峯村亮選手(神奈川大)が2月の「アクロポリス国際大会」(ギリシャ)でアテネ五輪の銅メダリストを破って優勝したニュースを聞き、まだ国際大会で優勝の経験がない身として「悔しかった」と言う。

 一方で、「自分が勝った選手が優勝できる。自分も世界で勝てる力は十分にあるんだ」と思うことができ、刺激されて燃えている時期。笹本選手の同行パートナーで終わる気はサラサラない。「日本では学生が練習相手ということが多く、自分より強い選手が少ない。アメリカのナショナルチームには自分よりも弱い選手はいないはず。一番下の立場に立って、そこからはい上がることで実力をつけたい」と気合を入れる。大きく変身して帰国することが期待される
(右写真:eチケットの自動チェックインで悪戦苦闘する両選手。これも修業!?)

《iモード=前ページへ戻る》

《前ページへ戻る》