男子フリースタイル全日本チームが帰国【2007年3月17日】






 ブルガリアで合宿していた男子フリースタイルの全日本チーム(左写真)が3月16日、2週間半の遠征を終えて帰国した。

 一行は2月27日に日本を発ち、3月3〜4日にトルコ・アンカラで行われた「ヤシャ・ドク国際大会」に出場。5日にブルガリアに移動し、標高2000メートルのベルメケンで行われたブルガリアのフリースタイル・チームの合宿(ほかにモンゴル、モルドバ、ギリシャ。女子も行われモンゴル)に13日まで参加した。

 ブルガリアは昨年の世界選手権で、男子フリースタイル55kg級のラドスラフ・ベリコフ・マリノフと女子72kg級のズラテバ・スタンカが優勝。5位に終わったものの男子フリースタイル74kg級のミハイル・ペトロフ・ガネフは8度目の世界一を目指したブバイサ・サイキエフ(ロシア)を破るなど世界の強豪国のひとつ。3選手のコーチでもあるシメオン・ステレフ(1981年世界選手権フリースタイル62kg級優勝)の指導にも関心が寄せられている。

 その世界王者のマリノフ
(右写真)は組み手がうまく、しつこさもあって、和久井監督(自衛隊)は世界チャンピオンの実力を感じた様子。前さばきに定評のある全日本チャンピオンの松永共広選手(ALSOK綜合警備保障)も、なかなか自分の組み手をつくれない状況だったという。しかし攻められることも少なく、時にポイントも取って全体としては互角で、いい練習ができたそうだ。

 標高2000メートルの地だけに空気が薄く、「息の上がり方は半ぱじゃなかった。菅平(標高1400メートル)とは全く違う。階段を普通に昇っただけで息切れがする」(55kg級・田岡秀規選手)という。練習が進んで苦しくなると息が吸えなくなってくるそうで、心肺機能の強化に最適の場所。

 練習は基本的に1日2回だが、合宿中(ブルガリアは25日まで3週間を実施)、毎週火・木曜日は練習試合が組まれている。1日に計3試合やった時もあるので、日本チームは計6試合をこなした。和久井始監督は「これだと試合のための練習ができる。スパーリングは、どんなに試合を想定してやっても、試合ではない。試合をやってこそ弱点が分かり、反省できる」として、このやり方を評価。スパーリングの本数にこだわることなく、試合に直結した練習の必要性を感じたという
(左写真=ベルケメンの合宿所)

 マットワークは1時間半で、日本に比べれば短い。しかし、どの選手もその後に自主的に練習をしており、「強くなる選手はどの国でも同じだ」という。

 合宿所の近くには山があり
(右写真の後方)、日本チームは期間中に1往復したが、ブルガリア・チームは日本が球技などの練習をやっている時にも登り、期間中に3往復した。和久井監督がトライしたところ、往復の所用時間は約2時間。しかしブルガリアの選手は1時間もかからずに往復する。帰りはアイスバーンになっている斜面を豪快に滑り降り、中にはスケルトン競技のように飛び込むスタイルで降りてくる選手も。和久井監督は「野生児というか…」と、その基礎体力や度胸に舌を巻いた。

 合宿を全体として振り返ると、マットワーク、サーキットトレーニング、山登り、球技などがバランスよく組まれており、マンネリにならないようなメリハリがあったという。しかし、「すべてが真似ではダメ。いいところを取り入れつつ、日本選手に合わせた練習方法を考えていくべきだ」と話した。

(写真提供=和久井始監督)


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