グレコローマン若手全日本チームが帰国【2007年3月14日】






 欧州に遠征していたグレコローマンの若手全日本チームが3月13日、約3週間の遠征を終えて帰国した
(右写真=左から松本、峯村、清水)

 2月23〜24日にギリシャ・アテネで行われた「アクロポリス国際大会」で、55kg級の峯村亮(神奈川大)がアテネ五輪3位のアルティオン・キオウレギアン(ギリシャ)のほかロシア選手などを破って優勝。帰国前の3月10〜11日にハンガリー・ソンバトヘイで行われた「ハンガリー・グランプリ」では、66kg級の清水博之(自衛隊)が初の海外遠征ながら昨年の欧州王者タマス・ロリンツ(ハンガリー)に大善戦するなど、2番手のチームとは思えない成績と内容を残した。元木康年監督(自衛隊
)も「今後に生かされる遠征だった」と満足そう。

 「アクロポリス国際大会」で優勝した55kg級の峯村
(右下写真)は、国内ではまだ優勝の経験がない選手だが、国際大会は昨年7月のアジア・ジュニア選手権(UAE)に続いての優勝。「コイントスとかが自分のいい方に向いてくれた運のよさはあったが、すべてがうまくいった。優勝は予想以上の成績。うれしかった」と言う。初戦の相手がアテネ五輪銅メダリストだったことは知らなかったそうで、それがかえってものおじしない思い切ったファイトにつながったという。

 その後のハンガリーでの合宿練習の3日目に右あばら骨を傷めてしまい、回復の兆しがなかったことで練習を休み、「ハンガリー・グランプリ」も無念の欠場。それでも、05年世界2位・06年世界3位の韓国選手のスパーリングと試合を目の前で見てビデオにおさめることができ、「この経験を生かしたい」と、気持ちは上向いている。

 神奈川大は昨年の東日本学生リーグ戦では一部Bグループ7位であり、発展途上と言えるチーム。その中で世界でも勝てる実力をつけたことが特筆される。峯村は「全日本合宿に呼んでもらえ、嘉戸洋コーチ(日本協会専任コーチ)ほか全日本のコーチが親身になって指導してくれました。そこで学んだことを所属に持ち帰り、考えながら練習を積んだ成果だと思います」と振り返る。海外2勝ながら国内0勝を指摘されると、「今年は国内の大会で優勝できるように頑張ります」−。

 60kg級の松本隆太郎(日体大)は、昨年、デーブ・シュルツ国際大会(米国)で3位に入ったほか、世界学生選手権(5位)、世界ジュニア選手権(7位)と数多くの国際大会を経験している選手。それでも欧州のシニアのグレコローマン選手の実力は違ったようで、「自分の力のなさを実感しました。ローリングの守りも攻めも、みんな基本がしっかりしていた」と言う。合宿では「世界のトップレベルの選手と毎日練習でき、いい経験になった。次に生かせるよう所属へ帰ってしっかり練習したい」と結んだ。

 66kg級の清水は初の海外遠征だったが、「試合は何も分からないうちに終わった。1勝できたとはいえ、(負けた試合は)差があって悔しい」と言う。合宿でも韓国のトップ選手に実力の違いを見せつけられた。「やはりグラウンドの攻防の練習ですね」と、あらためて練習の指針を見つけたようだ。

 大会と大会の間に参加したハンガリーでの合宿は、地元選手を含めて9ヶ国が参加。韓国も国内1、2位の選手が参加するなど、アジアと欧州双方の技術を習得できる機会だったという。元木監督
(左写真)は「ローリングの練習がもっと必要。それを克服できれば、もっといい成績が残せる」と、若手の踏ん張り褒めた。「ハンガリー・グランプリ」では清水が1歳年下の欧州王者相手に「第1ピリオドは同点ながら警告の差で負けた。ここをしのげば勝機もあった」というほどの大善戦したことを評価。60kg級の松本は2大会とも初戦敗退に終わったものの、合宿では「韓国の1,2番手に積極的にぶつかってくれた」と、その意気込みを強調した。

 5月のアジア選手権(キルギスタン・ビシュケク)は、3階級とも全日本王者が出場辞退の方向で、この3選手に出場のチャンスがまわってきそう。3選手とも「今回の経験を生かし、アジア選手権では優勝したい」と、一気に世界へ飛躍したい希望を口にする。その後の明治乳業杯全日本選抜選手権(6月9〜10日、東京・代々木第二体育館)でも、チャンピオンの座を虎視眈々(こしたんたん)と狙っていることだろう。

 フリースタイルに比べて新旧交代が進んでいなかったグレコローマンだが、この3選手はいずれも1985年度生まれの21歳になったばかり。若い芽は確実に育っている。“オレ達の時代”は北京五輪の前にもやってくるか。


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