【優勝選手特集】男子フリースタイル60kg級・湯元健一2007年1月29日】







 山本“KID”徳郁参戦により注目が集まった男子フリースタイル60kg級だが、結局、2006年学生王者でもある湯元健一(日体大)の連覇で幕を閉じた。昨年6月の明治乳業杯全日本選抜選手権では、ライバルの高塚紀行(日大)に王座を譲り、プレーオフでも敗れて世界選手権の切符を逃した。その世界選手権では高塚が銅メダルを獲得し、この階級の話題を独り占めする日々が続いた。

 「1年間悔しい思いをした」。王座奪還を胸に臨んだ今大会は、高塚が2回戦で2006年世界ジュニア選手権3位の大沢茂樹(山梨学院大)に敗れ、直接対決はなくなった。

 しかし準決勝で対戦した大沢も1年数ヶ月前の秋に連敗している相手。実際、準決勝をこの日一番のヤマと振り返った。その大一番は第3ピリオドまでもつれ込む激戦となったが、第2ピリオド以降失点を防ぎ、自分のペースで勝利した。

 KIDをフォールで破ったアテネ五輪銅メダリストの井上謙二(自衛隊)との決勝は、「負ける気がしなかった」と言う。その言葉通り、無失点で優勝を決めた。「自分の流れでうまくいけた」と内容も納得のいくものだったようだ。

 フリー軽量級でも特に激戦区の60kg級。湯元は「厚い層の中、自分が一つ出たい」と意気込んだ。6月の明治乳業杯全日本選抜選手権では、今回敗れた選手たちもいっそう強い気持ちを入れてくるはず。しかし「周りのことより自分を磨きたい」ときっぱり。誰が相手でも、自分のレスリングで勝つ力をつけていくつもりだ。

 目標は国際舞台でのメダル獲得。世界選手権では高塚に先をこされたが、巻き返しに向け迷いはない。

(文=神谷衣香、撮影=矢吹建夫)


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