【特集】積極的な攻撃で1回戦は突破。6月に間に合うか?…山本“KID”徳郁2007年1月29日】






 約7年2カ月ぶりにアマチュア復帰したプロ格闘家の山本“KID”徳郁(KILLER BEE)は、男子フリースタイル60kg級の2回戦で井上謙二(自衛隊)にフォール負け。それでも初戦は突破したので、6月の明治乳業杯全日本選抜選手権への出場権は獲得した。

 初戦は土田章博(自衛隊)と対戦。第1ピリオドは互いにけん制し合うこう着状態が続いた。先に動いたのはKID。終了間際、タックルを仕掛けると土田も返し技で対応し、もつれ合うようにしてマットへ倒れ、最後はKIDがバックを取った。ビデオチェックの結果、KIDに計3ポイント、土田に2ポイントが入った。

 この2分間の戦いでリズムをつかんだのか、第2ピリオドに入ると動きが格段に良くなり、積極的な攻撃でポイントを重ね土田を突き放した
(右写真=土田に豪快なタックルを決めるKID)

 迎えた2回戦はアテネ五輪銅メダリストの井上が相手だった。KIDは試合開始と同時にアグレッシブに仕掛けてバックを奪いかけたが
(左写真)、直後に井上の巻き投げを食らって撃沈。右腕が逆方向に曲がった状態でマットへ叩きつけられ、苦しそうな表情で腕を抱えながら退場した。

 KIDは所属事務所を通じて「軽くけがしちゃったんで、ガッチリ治してきます」とのコメントを残して病院へ直行。過去の直接対決が2勝2敗で、久々の対戦を楽しみにしていたという井上は「7年間の経験の差が出たと思う。でもポイントを取られそうな場面もあったし、だてにプロですごい試合をしていない」とかつてのライバルをたたえた。

 負傷箇所の診断結果は「右ひじ後方脱臼で全治3、4カ月」。所属事務所は「3、4カ月といっても完治の話なので、6月には間に合うでしょう」と見通しを示している。状況が厳しいことに変わりはないが、KIDの五輪挑戦は6月まで続く。

(文=渋谷淳、撮影=矢吹建夫)


 1回戦で闘った土田章博選手の話「強かったですね。タックルは防げませんでした。プロの選手とやることに対しての意識はありましたが、試合はどんな時でも緊張するので、プロの選手相手だからという緊張はありませんでした。誰と闘う時であっても同じ気持ちです。(相手の)応援が多くても、自分にも自衛隊の人たちが多く応援してくれたので、心強かったです。次に闘った時には勝てるように頑張ります」

 
姉・美憂さんの話「悔しいですね。1試合目の序盤は不安だったけど、井上君との試合は動きに切れがあって安心しました。腕は多分脱きゅうしたんだと思います。じん帯もやっているかもしれない。ただ、スタミナは問題ないし、1試合フルに闘える力はあると思いました」

 
妹・聖子さんの話「1試合目の第1ピリオドは相手を見ていたけど、第2ピリオドに入って横の動きが出るようになって、(強さが)戻ってきたと思いました。2試合目は大差がついたけど、ポイントを取りに行く姿勢がありましたね。これであきらめる? そういうのはなんじゃないですかね。腕を治して練習すれば、6月はいけると思います」



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