【特集】3回戦敗退も、プロの意地見せた宮田和幸2007年1月28日】






 シドニー五輪フリースタイル63kg級代表でプロ格闘家の宮田和幸(フリー)が同74kg級に出場。2回戦(初戦)で、高校時代に五冠を獲得し、昨年はJOC杯ジュニア・オリンピックで優勝し、世界ジュニア選手権で銅メダルを獲得した新進気鋭の大月葵斐(早大2年)を破り、変わらぬ強さを見せた。

 第1ピリオドの開始早々にくぐりタックルで1点を先制。終盤、場外際でもつれ、このままでは場外へ押し出されると思ったのか、捨て身のかわず掛け。結局失敗して逆転されたものの、プロの意地とも言える果敢な攻撃に、7〜8分の入りだった観客席から大きな歓声。

 第2ピリオドには見事ながぶり返しを決めて取り、第3ピリオドは相手のタックルを冷静にかわして3−0の勝利。試合運びは以前と変わらず、積極果敢に技を仕掛ける姿勢が随所に見られた。これがプロで闘っている選手の度胸というものだろうか。

 しかし3回戦で、昨年3位の萱森浩輝(新潟・新潟県央工高教)にピリオドスコア1−1のあとの第3ピリオドを0−1で落とし、アマへの再挑戦が終わった。「6分(3分2ピリオドのトータルポイントでの勝負)の時は、負けたら「本当に負けた」という気持ちになる。でも、2分3ピリオドでは、負けたという気持ちになれないね」と、力を残しての試合だったもよう。

 アテネ五輪前まではなかった「押し出されると1失点」というルールが、かなり戸惑ったようで、今ひとつ波に乗ることができなかったようだ。しかし、こうしたルールの違いを別にすると、スタミナ的にも問題はなく、レスリングを続けるだけの体力や戦術は身についたままのようだ。「自分の場合は、まだ総合格闘技に慣れていない、という状況ですからね」と言う。

 しかし、6月の全日本選抜選手権への出場を問われると、「(勝てば)次に闘うはずだった小幡(邦彦)選手とやって、決めたかったんですよ」と即答はなし。しかし、その強さに「出てほしい。アマを盛り上げてほしい」と望む関係者が多かった宮田のファイトだった。

(文=樋口郁夫、撮影=矢吹建夫)


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