【優勝選手特集】女子72kg級・浜口京子2007年1月28日】







 大会第2日のトリを務めたのは、やはりこの選手だった。世界一奪還を目指す女子72kg級の浜口京子(ジャパンビバレッジ)が、決勝で初顔合わせとなった佐野明日香(自衛隊)を下し、11年連続11度目の優勝。自らの持つ女子の最多優勝記録と最多連覇記録を更新した。

 決勝の相手となった佐野は、帝京大で柔道選手として活躍し、自衛隊へ進んでレスリングに取り組んだという新鋭中の新鋭。ところが準決勝、積極的に柔道技を繰り出して前回大会2位の村島文子(中京女大ク)に逆転フォール勝ち。劇的な勝ちっぷりで女王への挑戦権をつかんだ。

 手の内の分からない相手を迎えた浜口は慎重に試合をスタートさせた。払い腰などの柔道技を果敢に仕掛けてくる佐野に対し、「しっかり相手を見て確実に勝つことを考えた」との言葉通り、堅実なレスリングを展開。ポイントこそ大差ではなかったが、危なげない内容で勝利し、「このところ(世界の舞台で)2位が続いていたので、久々の金メダルはとてもうれしいです」と京子スマイルを見せた。

 浜口が話したように、昨年は世界選手権、アジア大会ともに準優勝。しかし落ち込むひまはなく、アジア大会の直後から世界王者返り咲きに向けたトレーニングに着手した。世界選手権では場外に押し出されて失点を許した場面がいくつかあったため、ゾーン際の練習にも取り組んだ。

 最終目標は言うまでもなく北京五輪での金メダル。国内大会とはいえ、久々の優勝に気を良くする浜口は「もっともっと強くなりたいから、もっともっと努力したい。07年は体を振りほどかれても食らいつくような、そんなつもりで北京まで行きたい」と目を輝かせていた。

(文=渋谷淳、撮影=矢吹建夫)


《前ページへ戻る》