国内では他先取の追随を許さない男子グレコローマン66kg級の飯室雅規（自衛隊）が７連覇を達成。昨年12月のドーハ・アジア大会銅メダリストの貫禄を示した。
反対側のブロックから決勝までコマを進めたのは、２回戦で第２シードの江藤紀友（自衛隊）を下したこれまた同門の清水博之。飯室が「少しびっくりした」という意外なカードとなったが、チャンピオンが動じるはずもない。得意のローリングなどを随所に決め、滋賀・日野高の後輩にあたる清水を寄せ付けなかった。豪快な俵返しなどで国内では群を抜く不動のチャンピオンも、他の日本代表選手と同様、外国人選手相手にはなかなか結果を出せずに苦しんだ。そんな飯室がアジア大会でメジャー大会初となる銅メダルを獲得。世界の上位に進出する足場を築いたことで、「一皮むけるきっかけになるのではないか」と周囲の期待は高まるばかりだ。
アジア大会で大きな自信を得たという飯室は「グラウンドの技術は結構できていたので、もう少し取り組んだら（さらに上に）いけるかなと思っています」と手ごたえ十分。自分の技術で世界に通用する部分、そして改善しなければいけない部分を理解したというのが何よりの収穫であろう。
そのためにも2007年が重要な年となるのは言うまでもない。2004年のアテネ五輪では、日本の闘いを勝ち抜いて予選に挑んだが、結局は五輪出場枠を獲得できなかった。雪辱に燃える飯室は「まずは６月の全日本選抜選手権に勝って、世界選手権へ。その後はオリンピックを目指します」と語気を強めた。
（文＝渋谷淳、撮影＝矢吹建夫）
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