【優勝選手特集】男子グレコローマン120kg級・沢田直樹2007年1月27日】







 長らく第一人者としてこの男子グレコローマン120kg級を牽引していた鈴木克彰が昨年の世界選手権を最後に引退。2005年世界選手権代表の沢田直樹(山口県協会)と2004年全日本王者の新庄寛和(自衛隊)による後継者争いは、パワフルな沢田に軍配が上がった。

 「一戦一戦大事に戦うことを心がけた」という沢田は危なげなく勝ち上がり、予定通り決勝でライバルの新庄と激突。第1ピリオド、大事に戦うというプランとは裏腹に、クロスボディロックからの攻防で一瞬の隙を突かれてがぶり返しを食らってしまった。

 先行を許す嫌な展開となったが、ここで冷静になれたことが大きかった。第1ピリオド直後に崩れかかったディフェンスを修正。第2、第3ピリオドは堅守のレスリングを展開し、ともにラストポイントによるピリオド獲得ながら、逆転で勝利を手にした。

 沢田は今大会を前に「鈴木さんが引退して今回はチャンスだと思っていた」と意気込んでいた。訪れたビッグチャンスをものにするため、試合前には活動拠点にしている地元の山口県から上京。スパーリングパートナーのいる母校の拓大で1、2週間の出稽古を行い、実戦感覚を養った。

 全日本タイトルを手にした今、今年最大の目標は9月にアゼルバイジャンで開かれる世界選手権となる。2度目の出場を果たすためには、6月に行われる明治乳業杯全日本選抜選手権でリベンジを狙うライバルを返り討ちにしなければならない。来るべき大会に気を引き締める沢田は「気を抜かずに防御する練習を繰り返したい」と課題を挙げていた。

(文=渋谷淳、撮影=矢吹建夫)


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