【優勝選手特集】男子フリースタイル120kg級・田中章仁2007年1月27日】







 ひざの術から1年ぶりに復帰した男子フリースタイル120kg級の第一人者、田中章仁(FEG)が6連覇を達成した。

 全日本選抜選手権に出ていないため、ノーシードで1回戦からの登場となった田中は、2回戦で2006年世界選手権代表の北村克哉(専大)と対戦。第1ピリオドを奪われ、第2ピリオドをはコイントスによるクリンチで獲得。結局、第3ピリオドを同点ながらラストポイントを奪うという危うい内容で準決勝にコマを進めた。

 この戦いぶりは先行きに大きな不安を残した。動きには精彩がなく、第2ピリオド早々に息が上がってしまうなど、ブランクの影響がありあり。6連覇は厳しいかに思われたが、試合を重ねるごとに勘を取り戻していったのはさすがだった。

 決勝の荒木田進謙(専修大)戦は「いつも練習している相手なので動きが読めた部分があった」ため余裕が生まれたのか、トーナメント序盤の動きの悪さがウソのようなパフォーマンスを披露。第2ピリオド開始早々にフォールを奪ってあっさりと優勝を決めた。

 ひざの手術を終え、練習を再開したのが昨年の11月。悪いことに、再起に向けた厳しいトレーニングの中で腰を痛めてしまったという。「ひざは大丈夫だったけど、腰の調子が良くなかった。今日はスタミナもなかった」とは正直な感想だ。

 コンディション不良の中、優勝をものにした田中は「とりあえず優勝できて良かった」と安どの表情。「今はまだ80から90%くらいの回復具合だけど、今年は世界選手権に出場してオリンピックの出場枠を獲得したい」と完全復活に意欲を見せていた。

(文=渋谷淳、撮影=矢吹建夫)


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