【優勝選手特集】女子51kg級・服部担子2007年1月27日】







 2004年1月、アテネで行われたプレオリンピック。「オリンピック実施階級でない51kg級の自分にとっては、この大会がオリンピックです」の名言とともに銀メダルに輝いた服部担子(中京女大大学院)は、その後51kg級と55kg級をさまよった。あまりに厳しい減量。だが、オリンピックというアスリートにとって何ものにも変えがたい大目標にも挑みたい。

 悩み続けた服部が最後にたどりついたのは、やっぱり自分が長年闘ってきた51kg級だった。「世界選手権に出たい!」。固い決意を胸に挑んだ全日本選手権。1回戦をシードされ、2回戦から出場した服部は、いきなり若い前原愛(関大)に0−2でピリオドを奪われた。だが、「気持ちを入れた」という服部は、本来のディフェンスを取り戻し、第2ピリオド2−0、第3ピリオド1−0で逆転。

 続く、後輩・栄友菜(中京女大)との準決勝も1−0、2−0で完封した。決勝戦は、またしても後輩との対決。これしかないという自らの得意なペースに持ち込み、3ピリオド全て制限時間内0−0。コイントスで2度有利な体勢を得ると、時間を考えながら冷静に攻め、甲斐友梨(中京女大)を下して2年ぶり3度目の優勝を遂げた。

 これまで2度全日本チャンピオンとなりながらも、世界選手権の出場は果たしていない服部が、今回こそプレーオフに持ち込ませず、4月14日のジャパンビバレッジクイーンズカップ(東京・駒沢体育館)も制して世界選手権代表権の獲得なるか。それとも、甲斐が巻き返しを図り、プレーオフに持ち込めるか。

 山本聖子、坂本日登美、伊調千春・・・。日本女子レスリング史を彩ってきた世界チャンピオンたちが守り続けた51kg級の伝統を受け継ぐのは、果たして服部担子か甲斐友梨か。熾烈な同門ライバル対決が今、始まった。

(文=宮崎俊哉、撮影=矢吹建夫)


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