【優勝選手特集】男子グレコローマン84kg級・松本慎吾2007年1月27日】







 「目標は国内に置いていません。国内大会は通過点。目指しているのは世界チャンピオンです」。森山泰年の大会14連覇(1982〜1995年)に続き、高田裕司(1973〜1980年)、宮原厚次(1981〜1988年)、赤石光生(1986〜1993年)の8連覇と並ぶ史上2位タイの大記録をマークしながらも、男子グレコローマン84kg級の松本慎吾(一宮運輸)は淡々と語った。

 「今年こそは!」と世界選手権でのメダル獲得が期待されながらも、大会前に腰を痛め9位に終わると、連覇を狙ったアジア大会でも銅メダル。前回2002年のアジア大会で日本男子唯一の金メダルを獲得して以降は、日本のエースとして国内大会では最終日に試合が組み込まれていたが、今回は初日。

 その悔しさをぶつけるように、初戦となった高橋海人(早大)との2回戦から俵返しを連発し、2ピリオド連続のテクニカルフォール勝ち。続く矢野将章(専大)との準決勝も第1ピリオドに俵返しで4−0と奪うと、第2ピリオドは4−0からフォール勝ち。さらに、2006年全日本選抜選手権3位の太田充洋(大分・石垣原養護学校教員)との決勝戦でも、第1ピリオドを全くつけ入るスキを見せず4−0で奪うと、第2ピリオドは駒沢体育館に鳴り響くような轟音とともに相手をマットにたたきつけ、テクニカルフォール勝ちで優勝を飾った。

 大会後、松本は疲れを全く見せず、「これからも俵返しにこだわっていく」と力強く宣言。「明日からまた練習を始め、1から体を作っていきます。もっとパワーアップさせて、6月の全日本選抜選手権の後は海外へ武者修行に出ます。海外の強豪と練習して、さらに上を目指します」と、9月にアゼルバイジャンで行われる世界選手権、さらにはその先に見据えている北京オリンピックへ向けての強化計画を自ら発表。そしてさらに、「万全の体で臨めれば、世界選手権でもオリンピックでもメダルを獲れる自信はある」としめくくった。

(文=宮崎俊哉、撮影=矢吹建夫)


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