全日本選手権へ向けてルールの再確認を…内藤可三審判委員長2007年1月8日】






 日本協会が開催した指導者講習会(東京・国立スポーツ科学センター)に出席した日本協会の内藤可三・審判委員長は、今月末にある天皇杯全日本選手権へ向けて、参加する選手や指導者に対し、ルールを正しく理解することを望んだ。

 ルール改正の度に本HPなどで告知しているが、フリースタイルのクリンチで攻撃の選手が頭を相手の内側(腹の下)に入れて組んだり、相手のひざの裏ではなく太もものつけ根に組んだりするケースや、出血を伴わないバッティングでタイムを取ったりするケースが多々あるとの報告を受けているという(注=クリンチは頭を相手の外側に出し、ひざの裏を組んでスタートする。出血の伴わないタイムは1失点となる)。

 同点で終わった場合は、まず警告(コーション)の数によってそのピリオドの勝者が決まるのであり、その次がビッグポイントの差、それも同じだった場合はラストポイントを取った選手が勝つ規則であり、ガッツレンチ(ローリング)を仕掛けながら両者2点となり、この技によってのみ試合が終了した場合は、技を仕掛けた選手が勝者となるが、これらの規則が十分に理解されておらず、コーチからの問い合わせの電話も受けるとという。

 また、ドーハ・アジア大会に参加した斎藤修審判員は「審判でもまだ理解できていない人がいて、(フリースタイルのクリンチで)頭を相手の内側に入れて組み、それで審判がホイッスルを吹いたり、バッティングされた選手がタイムをかけたらそれを認めていた審判もいた」と報告した。

 内藤審判委員長は「ルールは厳密に適用されなければならない」とし、日本ではルールどおりの判定を行うことを強調。選手と指導者にルールの熟知を望んだ。

 下記は2006年5月21日に審判委員会が公布した新ルールの要点。その後、グレコローマンのクリンチにからんで、ラインが2本引かれるルールが追加されており、攻撃側の脚の位置などがしっかりと定められた。(ここをクリック、補足説明はここをクリック)。


2006年レスリングルールの要点について

日本協会  審判委員会 


1、競技方法について


(1)トーナメント方式で実施し、決勝戦に進出した選手に敗退した選手が敗者復活戦の権利を得る。
 *3位・5位が2名となる。
 *6名未満の場合リーグ戦方式で実施し、各順位1名となる。
 *各階級の試合は1日で終了する。

2、試合時間について

(1)2分間3ピリオドとし、30秒の休憩を挟む。 《2 分 30秒 2 分 30秒 2 分》

(2)各ピリオドで勝者を決定しなければならない。2つのピリオドで勝ったものが勝者となる。

(3)パッシーブは廃止する。しかし消極的な選手に対し、発声により警告し、改善されない場合はジャッジもしくはマットチェアマンの同意を得て、レフリーは試合を止め、消極的なレスラーに『○(コーション)』を与え、相手レスラーにテクニカルポイント『1』を与える。

(4)フォールの場合はピリオドに関係なく、試合は終了する。

(5)同点の場合の勝者決定について
   @コーションが少ない選手
   A得点の価値(3・2・1)
   B最終ポイントを取った選手(ラストポイント)
    *ガットレンチの2対2のポイントのみで終了した場合は、技をかけた選手の勝利となる。

(6)フリースタイルにおいては各ピリオドが0−0で終了した場合は30秒間の延長をクリンチで始める。

(7)グレコローマンスタイルについては試合時間2分間の内、最初の1分間をスタンドレスリングで開始し、残り1分間をクロスボディロック(30秒交替)から始める。

3、クリンチについて(フリースタイル)

(1)各ピリオドが0−0で終了した場合はコイントスにより優先権を決定する。

(2)優先権のある選手は脚の左右を選択をし、脚の外側に頭を出し、膝の後ろで手を組む。手の組み方は、腕と腕で組み合わせばいかなるグリップでも有効である。優先権のないレスラーは相手の肩甲骨の上に手のひらを置かなければならない。

(3)審判は上記の状態を確認と同時に笛を吹き、スタートさせる。

(4)30秒以内に先にポイントを獲得した選手が勝者となる。
   *サドンデスでありフォールは認められない。

(5)30秒経過時に得点が得れなければ、優先権のない選手にテクニカルポイント『1』が与えられる。

(6)場外へ出た場合、相手選手にテクニカルポイント『1』が与えられる。

4、クリンチにおける不正行為について

 クリンチにおいて、フライング・手の組み方・手のひらの位置等の不正行為があった場合、試合を止め、不正行為をした選手に注意を与える。同じ選手が2度目の不正行為を行った場合『○(コーション)』が与えられ、相手にテクニカルポイント『1』が与えられる。ピリオドは終了する。

5、クロスボディロックについて(グレコローマンスタイル)

(1)1分終了後、0−0の場合コイントスにより優先権を決定する。
   ポイントのある場合は上記2-(5)を適用し、優先権を決定する。

(2)優先権を得た選手は上側よりクロスボディロックで始める。

(3)クロスボディロックから開始後、30秒が経過した時点で、上側と下側が交替する。

(4)上側のレスラーがポイントを獲得できない場合、下側のレスラーにテクニカルポイント『1』が与えられる。(『○(コーション)』はない。)

(5)最初の1分間をデンジャーポジションで経過する場合、デンジャーポジションは続行され、フォールまでみる。
フォールが成立しない場合、残り時間は、スタンドから開始され、クロスボディロックは行わない。

(6)クロスボディロックから開始し、デンジャーポジションで30秒が経過した場合、クロスボディロックの交替は行わず、デンジャーポジションは続行され、フォールまでみる。

6、クロスボディロックにおける姿勢について

(1)下側のレスラーはセンターサークルのセンターライン(幅8cm)を中心に左右対称に両手、両膝を置かなければならない。

(2)上側のレスラーはセンターライン(幅8cm)上に足を置くことはできるが、ラインを越えてはならない。

(3)上側のレスラーの手の組み方は、手と手で組み合わせばいかなるグリップでも有効である。

(4)上側の選手の足の位置、下側の選手の手、膝の位置は別紙(省略)参照。

(5)審判は上記の状態を確認と同時に笛を吹き、スタートさせる。

7、クロスボディロックにおける不正行為について

(1)クロスボディロックにおいて、上側の選手がフライング、手の組み方、足の位置等の不正行為があった場合、試合を止め、一度目は「アテンション」、二度目に不正行為を行った場合、『○(コーション)』が与えられ、テクニカルポイント『1』が下側の選手に与えられ、スタンドポジションで再開される。

(2)クロスボディロックにおいて、下側の選手がフライング、手足の位置等の不正行為があった場合、試合を止め、一度目は「アテンション」、二度目に不正行為を行った場合、『○(コーション)』が与えられ、テクニカルポイント『2』が上側の選手に与えられ、再度クロスボディロックから再開される。

(3)クロスボディロックにおいては、上側の選手も下側の選手もお互いに圧力をかけてはいけない。

8、後半の1分間における反則について(グレコ・ローマンスタイル)

(1)クロスボディロックから始まった技術展開の中で起こる下側の選手の反則においては『○(コーション)』が与えられ、上側の選手にテクニカルポイント『1』or『2』が与えられる。その場合再びクロスボディロックから開始される。

(2)クロスボディロックから始まった技術展開の中で起こる上側の選手の反則においてはスタンドポジションから再開される。

(3)クロスボディロックから始まった技術展開の中でニュートラルポジション(スタンドポジション)で起こる防御側の選手の反則は従来どおりの処置を適用する。(クロスボディロックは採用しない。)

9、得点システムの改正

(1)5ポイントの技術点を取った選手はそのピリオドの勝者となる。

(2)3ポイントの技術点を2回取った選手はそのピリオドの勝者となる。
   *上記(1)(2)の技術展開ではカウンター技は成立しない。

(3)技術展開によって得点差が6点になった場合、その技術展開が終了した時点で6点差になっていれば、そのピリオドの勝者となる。

(4)スタンドポジションのレスラーが足を場外に出すごとに相手選手へ1点が与えられる。
   *押し出した場合は『○(コーション)』とテクニカルポイント『1』が相手に与えられる。

(5)グランドポジションにおいて手・足等が場外に出た場合はポイントは無しでセンターでスタンドポジションからスタートする。

(6)5ポイント、3ポイント×2回は各ピリオドのテクニカルフォールとし、勝利した2ピリオドともテクニカルフォールの場合、勝点4が与えられる。

10、その他の改正点

(1)出血のない負傷による試合の中断には相手に1点が与えられる。
  *反則等による場合はその限りでない。

(2)技術回避・場外逃避の処置は『○(コーション)+1』であるが、スタンドポジションから再開される。

(3)グランドからのリフティングに対する追加ポイントは廃止する。

(4)エスケープポイントは廃止する。

(5)ガットレンチ、アンクルホールドは連続して行うことができる。

(6)カデットの試合時間は2分×3ピリオドで行う。

(7)5ポイント、3ポイント×2回が成立した時点で、いかなる技術展開もありえない。しかし、デンジャーポジションはその限りではない、フォールまでみる。
  *攻撃側選手が自ら背中をついた場合、その限りではない。

(8)6人未満の順位決定は第1位のみ勝利数が勝点より優先し、第2位以下は勝点が優先する。 

以 上



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