【全日本選手権優勝選手】女子48kg級・坂本真喜子(自衛隊)【2008年12月24日】



 北京オリンピック金メダリストの伊調千春(ALSOK綜合警備保障)が不出場の女子48kg級は、10月の東京・世界選手権で銅メダルを獲得した大本命の坂本真喜子(自衛隊)が4年ぶり3度目の優勝を果たした。

 坂本は準決勝で明尾弥紀(京都・網野高)と対戦。現役高校生との対戦で圧勝が予想されたが、ふたを開けてみれば思わぬ苦戦を強いられた。「相手が小さくてよく動くので、取られるのが怖かった」。受けに回った坂本は第2ピリオドを失い、第3ピリオドを1−0でものにするという薄氷の勝利。しかし、この苦戦が精神的に吹っ切れるきっかけとなるのだから、勝負の世界は分からない。決勝では4月の全日本女子選手権決勝でも対戦した三村冬子(日大)を、わずか44秒でフォールし、「気持ちを切り替えて決勝では自分の動きができてほっとしている」と真喜子スマイルを見せた。

 北京五輪の出場を逃し、満を持して臨んだ10月の世界選手権は、残念ながら銅メダルに終わった。落ち込んだ時期もあったろうが、坂本は「あれからメンタルは強くなったと思う」と、今では3位という結果を前向きにとらえている。準決勝の苦戦を引きずらず、決勝でレスリングを修整できたあたりは、精神的な成長の証だろう。

 世界の頂点を目指すために、技術的な課題も見つけた。「構えていて腰が浮いてしまう場面があった。もっと腰を落として、フェイントをかけて相手を崩したい」。海外の強豪と対戦した経験は、どんなトレーニングにも変えがたい貴重な経験になったようだ。

 自身が銅メダルに終わった世界選手権では、金メダルを手土産に姉の日登美が引退。現在はコーチとなり、妹を全面的にバックアップするようになった。「これからは日登美と二人三脚で世界チャンピオンを目指したい」と坂本。2大会連続で代表争いに敗れた悲願のオリンピック出場に向け、まずは世界選手権の金メダルが最初の目標になりそうだ。

(取材・文=渋谷淳、撮影=矢吹建夫)


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