【全日本選手権優勝選手】女子72kg級・佐野明日香(自衛隊)【2008年12月23日】



 階級変更前の70s級、75s級を合わせて浜口京子(ジャパンビバレッジ)が12連覇していた女子72s級は、佐野明日香(自衛隊体育学校)が初制覇した。

 浜口は北京五輪と世界選手権後の負傷の回復のため欠場。浜口は4月のジャパンビバレッジ杯全日本女子選手権も欠場したので、2008年は国内の2大大会を欠場ということになる。しかし、8月の北京五輪も10月の世界選手権も銅メダルを獲得していることを考えれば、やはり日本の72sの“絶対王者”は浜口ということになる。つまり今大会は「浜口への挑戦権をかけた闘い」といってもよかった。

 4選手がエントリーした中、4月のジャパンビバレッジ杯全日本女子選手権で初優勝した鈴木博恵(立命館大)と、10月の世界選手権67s級で銀メダルを獲得した新海真美(アイシン・エイ・ダブリュ)が準決勝で激突。第3ピリオドまでもつれる接線を制して新海が決勝進出を決めた。もう一方のブロックの準決勝は佐野明日香が町田千明(慶應義塾大学)にフォール勝ちして勝ち上がった。

 どちらが勝っても初優勝の決勝。組み合いの攻防から新海が佐野の左足にタックルを仕掛けるが、切られる。その後も組み合いから崩しにいく新海。投げがスッポ抜けたところを後ろからつぶされ、佐野が1ポイント先制。新海はまたもタックルを仕掛ける。だが、佐野もがぶってこらえる。第1ピリオド終了間際にも佐野の右足にタックルを仕掛けた新海だが、切られて第1ピリオドは1−0で佐野が取った。

 第2ピリオド、タックルでもぐりこもうとする新海。がぶる佐野。残り時間30秒というところで両者が投げ合い。これも佐野がつぶして1ポイント奪った。残り時間10秒というところでタックルにいった新海だが、佐野はきっちり切って守り切り、初優勝を飾った。


 佐野明日香の話「柔道からレスリングに転向して、なかなか結果が出せなかったのですが、ようやく結果出せてうれしいです。今こうしている間(優勝インタビュー)に、実感がわいてきました。柔道から転向したばかりの頃は、柔道技ばかりだったのですが、ようやくレスリングの技が出せるようになってきました。

 坂本(日登美)先輩がコーチになってからは、技術面も精神面も本当に助けられています。浜口(京子)先輩とはオリンピックの直前や世界選手権の前とかに、一緒に練習させてもらっていますが、まだまだだと思っています。浜口先輩は私がレスリングを始めた時から、第一線で活躍している人ですから」

(取材・文=三次敏之、撮影=矢吹建夫)


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